3級審判員の悩める日々
とあるサッカースポーツ少年団の指導者で、かつサッカー3級審判員である私のサッカー三昧な日々
事実を伝えていく ~サッカー発展に向けたレフェリングの理解促進~ JFA・テクニカル・ニュース vol.79 のコラムより


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JFAの小川佳実審判委員長が、指導者資格保有者に隔月で郵送されるテクニカル・ニュースのコラムに寄稿された文章の紹介です。



以下、JFA・テクニカル・ニュース vol.79(2017年5月25日発行) のコラムより転載



----- これより 転載 -----



 2017/2018競技規則の改正において、「プレーに関する事実についての主審の決定は、得点となったかどうか、また試合結果を含めて最終である(第5条・主審)」という条文の後に、「主審およびその他すべての審判員の決定は、常にリスペクトされなければならない」という文章が新たに加わりました。この文章がなぜ加わったのかを考えてみます。



 近年、トップレベルの試合ではテクノロジー(ビデオアシスタントレフェリー:VARs)や追加副審が導入され、判定に対する要求水準が高まり、また多くの試合において映像で事象を確認できる環境が整ってきました。そのため、より多くの人が映像を通じて判定の正誤について厳しい目で見る、また判断する機会が増えました。特に、誤った、または誤ったと思われる判定を下した審判員が批判に晒されることが世界的に見受けられるようになりました。こうした点から前述の文章が加えられたのではないでしょうか。また、クラブ・チームに不利となるような判定があった場合、その判定について、メディアからさまざまな意見が発信され、時には審判員個人が批判されることがあります。さらに、審判員の判定が適切、または受け入れられるべきものであるにもかかわらず、あたかも「間違っていた」かのような報道がなされたり、審判員個人がターゲットになってしまうことがあるのも事実です。こうしたことが続けば、審判員として活動する人がたちがサッカーファミリーから離れていってしまう、またサッカーに必要な審判員になる人がいなくなってしまうことが起こり得ることも考えなければなりません。



私たちは、これらの原因について、私たち自身に目を向けていくことにしました。これまで審判サイドからどのようなアクションを起こしてきたのか。すなわち、競技規則の理解やレフェリング・判定の解釈を深めてもらえるような情報の開示をどのようにしてきたのかという自分たちへの問いでした。答えとしては「いいえ」と言わないとしても、「十分ではなかった」ことは確かであり、組織として必要な時に審判員を守ってあげられなかったこともありました。”守る”という言葉は閉鎖的に聞こえるかもしれませんが、これまでの対応の”守る”が情報を出すことに消極的だとすれば、これからは情報を積極的に出すことで審判員を”守る”という方向に考え方を変えていくことが必要だと考えました。しかしながら、この対応は、常に「審判員の心情と状況」を理解すること、またクラブや選手へのリスペクトを忘れないことを大前提に取り組んでいくことが大事になります。



これらを踏まえ、JFA審判委員会では2017シーズンより次の3つの取り組みを始めました。


①メディア
 情報の発信元であるメディア関係者に対して、定期的に(少なくとも月1回)、レフェリングについてのブリーフィングを実施します。Jリーグの試合を中心に事象を抽出し、映像を用いて審判員が判定するまでの経緯や考慮点について説明し、重要な判定技術およびその難しさを判定の正誤とともに伝えています。これによりメディア関係者の競技規則やレフェリングについての理解が深まり、より適切な発信が期待されます。

②ファン・サポーター
 サッカーを応援していただくファン・サポーターに向けに、Jリーグ全クラブ、日本フットボールリーグ(JFL)の選手や監督とシーズン前に共有している「競技規則スタンダード」をJFAとJリーグのホームページ上に掲載しました。これにより、判定がどのようになされているのか、またその判定を行うことの難しさや判定そのものの理解を深めてもらうことにつながります。Jリーグの試合で起こった事象について、開示したスタンダードをもとに、ファン・サポーターの方々の間で判定とレフェリングについてより深く考えてもらえることを期待しています。

③Jクラブ
 Jリーグや天皇杯において、試合後のクラブの申し出に基づき、クラブ関係者と審判アセッサー(RA)で重要な事象(PK、得点、退場、オフサイド)について意見交換を実施することになりました。RAが審判員の見解・解釈を確認した上で、クラブ関係者と映像を見ながら、競技規則をもとに判定の正誤を含めてその事象を説明します、これにより、事象に対する審判サイドの見解がすぐに選手や監督に伝わり、次の試合に臨んでもらうことが可能になります。また、審判にとっても解決すべき課題について、該当する審判員、必要に応じて審判員全体に次の試合までに伝えることができます。



審判サイドからレフェリング・判定について「事実を伝えていく」ことは、ある意味、チャレンジだと思います。それは、敗戦した、さらに判定から不利益を被った、また被ったと思われるクラブ・チームの関係者の方々と向き合うことになるからです。しかしながら、サッカーをより良いものにする、また発展させていくためには、フィールド上に立つ”選手と審判員”に直接関わる関係者が真摯に向き合っていくべきです。地域や都道府県においても、可能な限り技術と審判の双方の関係者が向き合い、事実を伝え、リスペクトを持って理解し合うことに取り組んでいただけることを期待しています。



----- 転載 ここまで -----









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(問題)1対1になったゴールキーパーがペナルティーエリアの外で相手競技者を倒してしまったがボールはゴールに入った、さぁどうする?


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コメント欄にいただいた質問の回答を書きかけたのですが、折角ですので記事にしてUPしておきます。



(問題)1対1になったゴールキーパーがペナルティーエリアの外で相手競技者を倒してしまったが、ボールはゴールに入った。さぁ主審のあなたはどう対応する?

補足情報。
・ゴールキーパーは自分がペナルティーエリアの外に出たことを自覚しており、足でボールに触れようとしましたが、ボールには触れることができず、相手競技者の足だけを引っかける形で倒してしまいました。
・ゴールキーパーが相手競技者を倒した瞬間からボールがゴールに入るまでの間、「笛は吹かなかった」とします。



適切だと思う選択肢を選んで回答ください。

1)フリーキックを宣告し、ゴールキーパーを退場処分にする
2)フリーキックを宣告し、ゴールキーパーを警告する
3)得点を認めたのち、ゴールキーパーを退場処分にする
4)得点を認めたのち、ゴールキーパーを警告する
5)得点を認め、キックオフで再開する(懲戒処置はしない)




(選択肢の項目を修正しました。)



それでは解説です。



あ、そうそう、解説を読まれる前に、
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ゴールキーパーがファウルを犯したのち、ボールがゴールに入っているということは、プレーの方向はゴール方向であり、他の守備側競技者が付近にいなかったということが分かります。



従って明らかに「決定的な得点の機会の阻止」という状態だったことになります。そして、反則(ファウル)はペナルティーエリアの外で行われているので、「3重罰の解消の対象」にはならず、本来であればゴールキーパーは退場処分となるべきシーンです。



が、この場合、アドバンテージの適用が認められます。(できればアドバンテージのコールをしておくほうが望ましい。)



原則として、退場処分となるような反則が起きた場合、アドバンテージを適用すべきではない、と競技規則には書かれていますが、「違反直後に得点の機会がない限り」という但し書きがついています。



競技規則 2016/2017 その他のアドバイス

1. アドバンテージ
主審は、違反または反則のいずれかが起きたときにアドバンテージを適用することができるが、アドバンテージを適用するのかプレーを停止するのかを判断するうえで、次の状況を考慮する。

• 反則の重大さ。違反が退場に値する場合、違反直後に得点の機会がない限り、主審はプレーを停止し、競技者を退場させなければならない。
(後略)




設問のシーンのような場合、違反直後に得点の機会が継続しているので、慌てて笛を吹いて試合を止めずに「少し待つ」という余裕が必要です。もし、戻ってきた守備側競技者にクリアされてしまったり、ボールがゴールから逸れてゴールラインを割ってしまったなら、その時点で笛を吹いて、ファウル認定をして直接フリーキックをコールします。



(これは反則がペナルティーエリア内で行われた場合にもあてはまります。詳しくは過去記事 「決定機の阻止と笛のタイミング ・・・ Play of the Week 2014 week 10 」 をご覧ください。)



さて問題のケースでは、笛が保留されているので、アドバンテージが適用され、得点を認めることができます。(というか、得点を認めなければなりません。)



その場合、本来退場処分となるべきゴールキーパーの懲戒処分が変わってきます。これはきちんと競技規則の第12条に規定されています。


競技規則 2016/2017 第12条 ファウルと不正行為

3. 懲戒処置
(中略)
アドバンテージ
警告や退場処分となる反則に対して、主審がアドバンテージを適用したとき、この警告や退場の処置は、次にボールがアウトオブプレーになったときに実施されなければならない。ただし、決定的な得点の機会の阻止と判断される反則がありながらも、主審の判断 によりアドバンテージが適用され、その結果として得点となった場合、その反則を犯した競技者は反スポーツ的行為で警告される。




ですので、この問題のケースの場合、得点後のキックオフの前に、ゴールキーパーを「反スポーツ的行為」で必ず警告しなければなりません。



従って、問題の正解は
4)得点を認めたのち、ゴールキーパーを警告する
となります。



ちなみに、ファウルのあと、ボールがゴールに入る前に笛を吹いてしまった場合には、
1)フリーキックを宣告し、ゴールキーパーを退場処分にする
で対応しなければなりません。



☆ 関連記事 ☆

「決定機の阻止と笛のタイミング ・・・ Play of the Week 2014 week 10 」

「決定的な得点の機会の阻止があっても慌てて笛を吹いてはいけない ・・・ Play of the Week 2015 Week 8」



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「ファウル」と「ファール」どちらが正解なのか


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サッカーの英語版の競技規則には「Foul」という言葉があり、これを日本語版の競技規則では「ファウル」と訳しているので、このブログ上でも必ず「ファウル」という言葉を使っています。



「Foul」 なんだから「ファール」という表現を使ってもいいんじゃないの?と思われる方もいらっしゃるのではないか、と思います。



しかしながら、日本サッカー協会はホームページ上の JFA・Jリーグ サッカー用語集 の中で、

一般的なサッカー用語英文表記  解説 誤った使い方、サッカー界
では使用していない用語
ファウルFoulファール、と音引きに
しない。


と記載しています。



コメント欄にコメントをくださる方が、結構「ファール」という言葉をお使いになられているので、ちょっと記事にして紹介させていただくことにしました。



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オブストラクションとインピーディングの違い


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コメント欄にご質問をいただいたので、記事にさせていただきます。



サッカーでは、ボールが自分のプレイエリア内に存在している場合に限り、相手競技者の動きをブロックすることが許されています。(「スクリーン」プレーと呼ぶこともあります。)



で、ボールが自分のプレイエリアにはなく、そして自分がボールをプレーしようとせずに、ただ単純に相手競技者がボールに向かうことを妨げることを、現在の英語版の競技規則では「impede」という動詞を使って「反則」だと定義しています。



ここからは推測なのですが、古い競技規則では、このimpedeという動詞の代わりに、「obstruct」という動詞もしくはその名詞形である「obstruction」という単語が使われていたのではないでしょうか。(少なくとも2004年度版の英語版の競技規則では既にimpedeが使われています。)



ですので、結論からいうと、サッカーで相手競技者の進行を妨げる反則のことを、昔は「オブストラクション」といったのだけれど、現在は競技規則の言葉を正しく使用して表現するなら「インピーディング」となります、ということですね。



で、これまでは「身体的な接触を用いずに相手競技者の進行を妨げた場合」は「インピーディング」として間接フリーキックで罰せられる反則で、「身体的な接触を用いて相手競技者の進行を妨げた場合」は「ホールディング(相手競技者を押さえる)」として直接フリーキックで罰せられる反則という感じでした。



しかし、2016/2017年度の改正で、

直接フリーキックで罰せられる反則の1つに、
身体的な接触によって相手競技者を妨げる。
・impedes an opponent with contact
が新たに追加されました。



そして、間接フリーキックで罰せられる反則のほうは、
身体的接触を伴わずに、相手競技者の進行を妨げる。
・impedes the progress of an opponent without any contact being made
という形で、アンダーラインの部分が追加されました。



つまり、ボールがプレイエリアにない状態で相手競技者の進行を妨げた場合、身体的な接触があれば「直接FK」で、身体的な接触がなければ「間接FK」で罰せられる反則になりますよ~、という形になりました。



もしかしたら、身体的な接触を用いて相手競技者の進行を妨げているのに、間接FKで罰してしまっていることが散見されていたので、両者を区別しましょう、ということで文章が見直されたのかもしれませんね。



☆ 関連記事 ☆

「オブストラクション(インピーディング)」



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2017シーズンの競技規則スタンダード


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Jリーグ公式チャネルがUPしている動画に、日本サッカー協会審判委員会副委員長の上川さんが、Jリーグ開幕直前にレフェリングのスタンダードについて解説している映像がありましたので、紹介しておきます。



「このレフェリング・スタンダードですが、選手や審判だけではなく、『サッカーに関係するすべての方々が正しい競技規則の解釈、適用について、同一した理解が得られるようにすることを目的に作られたものです。』」



結構、実際の現場で遭遇した時に判断に迷うようなプレーのシーンがたくさん含まれていると思います。審判活動される方は、ぜひ何度も繰り返してご覧になられることをお薦めします。



ハンドの基準、皆さんの基準と同じでしたか???



違和感を感じた方は、先日の記事 「ハンドリングかどうかを瞬時に見極める ・・・ Play of the Week 2016 Week 29」 もどうぞ。







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