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3級審判員の悩める日々
とあるサッカースポーツ少年団の指導者で、かつサッカー3級審判員である私のサッカー三昧な日々
競技者がボールに挑んでいないとき、意図的に相手競技者やその他の者に対して頭や顔を手で打つ場合、その力が微小なものでない限り、乱暴な行為を犯したことになる


本当は、昨日の記事がトップに表示される時間を多くするために、今日は更新しない予定でしたが、ちょっと話題のニュースについて少しだけ。



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「乱暴な行為」については、昔は

競技規則 2015/2016 ガイドライン 第12条 ファウルと不正行為 

乱暴な行為

競技者がボールに挑んでいないとき、相手競技者に対して過剰な力や粗暴な行為を加え た場合、乱暴な行為を犯したことになる。

また、味方競技者、観客、審判員あるいはその他の者に対して過剰な力や粗暴な行為を 加えた場合、乱暴な行為を犯したことになる。

乱暴な行為は、ボールがインプレーであるとないとにかかわらず、フィールド内または フィールドの境界線の外側のいずれでも起こり得る。

(後略)


という文章で規定されていました。



これが、2016/2017 年度の改正で現在の文章のように修正されました。(基本的には下線がついている部分が追加された形。)


競技規則 2018/2019 第12条 ファウルと不正行為

乱暴な行為

乱暴な行為とは、身体的接触のあるなしにかかわらず、競技者がボールに挑んでいないときに相手競技者に対して、あるいは、味方競技者、チーム役員、審判員、観客またはその他の者に対して過剰な力を用いたり粗暴な行為を行う、または、行おうとすることである。

加えて、競技者がボールに挑んでいないとき、意図的に相手競技者やその他の者に対して頭や顔を手や腕で打つ場合、その力が微小なものでない限り、乱暴な行為を犯したことになる。




AAR(追加副審、ただし国際主審資格保有者)の位置からは、クリスティアーノロナウド選手が、ボールと関係の無い場所で相手競技者の頭を叩こうとしたように見えた(現行の競技規則の1つめの文章に抵触)、あるいは相手競技者の頭を手で打った強さが「微小なもの」ではなかった(2つめの文章に抵触)、と判断されてしまったために、最終的に主審によって「退場」が命じられることになりました。



ユベントスのアッレグリ監督がVARがあったなら、「退場」にはなっていなかったんじゃやないか、といようなことをコメントしているようですが、VARは「明らかな間違い」があった場合に主審に進言するので、今回のケースが「明らかな間違い」とされる可能性は低いような気がします。(もちろん、主審が副審の意見(進言)を踏まえた上で、念のためVARに映像を見せてくれ、と要求し、私(主審)の責任において「退場にはしない」と判断する可能性はあると思いますが。)



最終的なポイントとなるのは、恐らくクリスティアーノロナウド選手の相手選手の頭部に触れた強さが「微小なもの」だったか「微小なものではなかったか」という境界線の上か下かというところなので、仮にVARがいたとしても「現場の審判団の判断」が尊重される可能性が高いと思われます。(この試合の審判団は、国際審判員で構成されているようなので、2016/2017年の改正時あるいはそれ以降に、恐らくFIFAからなんらかの基準(どこまでが「微小」でどこからが「微小ではない」という線引き)が研修会などで示され共有されていたでしょうし。)



スローリプレイを見ると、、クリスティアーノロナウド選手の手の動きは「微小」だったように見えなくはないのですが、ノーマルスピードで見ると、「う~ん」という感じです。



といったところを踏まえつつ、皆さんが万一現場で「副審だったら、主審にどう伝える?」ということを考えながら、下の2つの映像をご覧ください。


ノーマルスピード





スローリプレイ





今回の件に関しては、最終的にどのような決着になるかはわかりませんが、ま、明らかに言えることは、2016/2017年の改正以降は、「ボールに関係のないところで、相手競技者の顔や頭に不用意に触れることは避けておくに越したことはない」 ということですね。



追記。


記事を書いている間に、スローリプレイのあるハイライト映像のほうがUEFAにブロックされてしまいました。
ノーマルスピードの映像のほうはブロックされる可能性は低いと思いますが、念のためGIF動画にしておきます。





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結局、いつもと変わらないボリュームになってしまった・・・。

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フェルナンド・トーレス選手が間違えたルール



鳥栖のフェルナンド・トーレス選手が来日初の警告を受けたことで、2016年度に行われたルール改正が少し話題になりました。



オフサイドの反則が起きた時に、再開場所がそれまでのルールの再開場所と少しずれるケースが出てきました。IFAB(国際サッカー評議会)に言わせると、ルールが変わったのではなく、ルールが正しく解釈されていなかったので、正しく解釈されるように条文を見直した、ということなのですが。(詳しくは後述。)




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我々アマチュア審判員の間でも、「選手から絶対、『オフサイドの反則は相手陣地内での待ち伏せ行為に対する反則だろ、なのになんで相手陣地からではなくて自陣地側から相手チームのフリーキックになるんだよっ(怒)。』 って言われるよね。」と、改正後しばらくは、よく試合前の打合せ時などの際に話題になりました。



ニュース記事などでは、簡単に「改正された」程度の説明しかなされていませんが、審判員のブログですので、もう少し掘り下げておこうと思います。



まず、2015/2016年度までの文章。


競技規則 2015/2016 第11条 オフサイド

違反と罰則
オフサイドの反則があった場合、主審は 違反の起きた場所から行う間接フリーキックを相手チームに与える。

Infringements and sanctions
In the event of an offside offence, the referee awards an indirect free kick to the opposing team to be taken from the place where the infringement occurred.


上が、当時の競技規則本文。下が、「競技規則の解釈と審判員のためのガイドライン」に記載されていた文章。

競技規則 ガイドライン 2015/2016 第11条 オフサイド

違反
オフサイドの反則が起きたとき、主審は、味方競技者の1人が、オフサイドの反則を犯した競技者に対して最後にボールをプレーしたときに、オフサイドの反則を犯した競技者がいた場所から行われる間接フリーキックを与える。

Infringements
When an offside offence occurs, the referee awards an indirect free kick to be taken from the position of the offending player when the ball was last played to him by one of his team-mates.




これらの文章を読む限り、「(オフサイドポジションにいた競技者の)味方競技者が、オフサイドの反則を犯した競技者に対して最後にポールをプレーした(=ラストパスを出した)ときに、オフサイドの反則を犯した競技者がいた(=ラストパスを受け取った場所ではなくあくまでラストパスが出た時にいた)場所から行われる間接フリーキック」で再開しなさい、というニュアンスで書かれています。



では、2016/2017年度版になってどのように変更になったか、というと(2018/2019 年度版でも同じ文章ですので、2018/2019年度版の文章を掲載しておきます。)



競技規則 2018/2019 第11条 オフサイド

4.反則と罰則
オフサイドの反則があった場合、主審は、その競技者のハーフであっても、反則が起きたところから行われる間接フリーキックを与える。

4. Offences and sanctions
If an offside offence occurs, the referee awards an indirect free kick where the offence occurred, including if it is in the player’s own half of the field of play.




つまり、「オフサイドの反則があった場合、主審は、(オフサイドポジションにいた競技者がボールに触れたことでオフサイドの反則が確定した場合、ボールに触れた場所が)その競技者のハーフ(=自陣側)であっても、反則が起きたところから行われる間接フリーキックを与える。」という文章になりました。



この変更に対して、IFAB(国際サッカー評議会)は、

これまでの条文と解釈は矛盾していた。競技規則全般にわたる基本原則としてフリーキックは反則が起きた場所で与えられるため、オフサイドにもそれは適用される。競技者が相手競技者のハーフ 内のオフサイドポジションから自分のハーフ内に移動してオフサイドの反則を犯した場合、フリー キックは競技者のハーフ内で与えることができる。

The Law and the interpretation were contradictory. Throughout the Laws, the general principle is that a FK is awarded where an offence occurs so this now applies to offside. A FK can be awarded in a player’s own half if the player moves from an offside position in the opponents’ half to commit an offside offence in the player’s own half.


という説明を、2016/2017 年度版の競技規則の
「すべての改正点の詳細」という項目の中に掲載しています。



ということで、現行のルールでは、味方競技者がパスを出したタイミングでオフサイドポジション(相手陣地内)から自陣側に戻ってそのパスを受け取ってオフサイドの反則となった場合、2016年度の改正後からは、自陣内から相手チームによる間接フリーキックでの再開となってしまいますので、注意が必要です。



ですので、極端な例ですが、GKがパントキックした瞬間に相手陣地内でしかもオフサイドポジションにいた選手が、強烈な風で自陣ペナルティーエリア内まで押し戻されたパントキックのボールに対し、猛ダッシュで駆け寄って他の競技者が触れる前に触れてしまうと、自陣ペナルティーエリア内から行う相手チームの間接フリーキックでの再開となることも理論上はあり得ます。



知らなかった方は、これを機会に、このオフサイドの再開場所の変更についてちょっと覚えておいてください。ただし、現場では主審の指示する場所から再開してくださいませ。「自分のほうが正しい。ルール知ってんのか~!」な~んて主審に詰め寄ったところで、何の得にもなりませんので。



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FIFAのVARシステム説明


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昨日の更新のリンク先であるFIFAの公式試合データ(フランスvsオーストラリア戦)のサイトをチェックされた方はご覧になったかもしれませんが、FIFAがVARシステムを説明している映像がありますので、紹介しておきます。





なお、過去記事 「ビデオアシスタントレフェリー(VAR)について」 で紹介済ですが、日本サッカー協会がVARシステムを説明している映像はこちら。





更に、もっと詳しくVARを学びたいという方は、過去記事 「Howard Webb 氏による VAR セミナー」 で紹介済のこちらの映像をどうぞ。



この映像は、1時間もあるので少し長いのですが、これから国際審判員になることを目指される方にとって絶好の英語のヒアリング教材になると思われます。(ちなみにHoward Webb 氏は、元警察官で、その後国際審判員として活躍され、2010年のワールドカップでは決勝の主審を務めています。)



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ビデオアシスタントレフェリー(VAR)について


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もうまもなくロシアワールドカップが開幕します。



ロシアワールドカップではVARが導入されることが決定しています。このブログ上では、2017年08月08日付けの過去記事 「Howard Webb 氏による VAR セミナー」 などで触れています。(下の関連記事参照。)



現在の競技規則(2017/2018年度版)にはまだVARのルールは存在していません。プロローグ部分でのVARの実験についての記述のみで、2018/2019年度版からルールとして記載されます。



昨日(2018/06/13日)付けで、日本サッカー協会がVARについて約10分の映像を公開していますので、ワールドカップ観戦の前にチェックされておくと、ワールドカップが更に楽しめると思います。







ちなみに、IFAB(国際サッカー評議会)が、2018年06月01日付けで VAR protocol というPDFファイルをサイトにUPしています。
VAR protocol


VARについてもっと詳しく知りたい、という方は、上記リンク先のPDFファイルをごらんください。(もちろん英語です)








☆ 関連記事 ☆

「Howard Webb 氏による VAR セミナー」

「VARがチェックしている間に反対側チームが得点したら ・・・ Play of the Week 2017 Week 20」

「VARの試験導入直後に ・・・ Play of the Week 2017 Week 22」

「人違いレッドカード」





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キックフェイントが招いた大混乱(起きてはいけないミスが・・・)


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まずは、日本協会のニュースリリースをどうぞ。
【お詫び】天皇杯 JFA 第98回全日本サッカー選手権大会において競技規則適用ミスがあり、PK方式のやり直しを決定



2016/2017年度の改正で、ペナルティーキック(試合後に行われるペナルティーマークからのキックを含む)の際、キッカーが助走完了後にボールをけるためにフェイントを行った場合、警告されるというルールに変更されました。


競技規則 2017/2018 第14条 ペナルティーキック

2.違反と罰則

(中略)
ただし、ボールがゴールに入ったかどうかにかかわらず、次の場合、プレーは停止され、間接フリーキックで再開される:
(中略)
• 競技者が一度助走を完了した後、ボールをけるためにフェイントをする(助走中のフェイントは認められる)。主審は、そのキッカーを警告する。
(後略)




「キックフェイントは警告」という話は、結構認知されているのですが、再開方法までしっかり頭に入っている方は、あまりいないのではと思っています。折角の機会ですので、頭に入れてしまいましょう。



キッカーだけがキックフェイントの違反を行った場合
「結果にかかわらず、キッカーを警告した上で、間接フリーキックで再開」
です。



一応、2016/2017年度版に記載されている要約表で確認しておきます。(あえて、2016/2017年度版を使用。理由は記事の後半をお読みください。)

lowofthegame_2016-2017_14_3_001.jpg
※2016/2017年度版の要約表です。現在(2017/2018年度版)のものとは異なります。

これは、試合中のペナルティーキックの場合についての表記ですが、キックフェイントが行われた場合、「間接フリーキック」となるということは、ペナルティーマークからのキックの場合は「失敗」扱いとなります。(この時の改正では明記されていなかったのですが、ペナルティーマークからのキックの場合、キックフェイントの反則があった場合にキックが「失敗」となることが2017/2018年度版の第10条で明記されました。)



競技規則 2017/2018 第10条 試合結果の決定

3. ペナルティーマークからのキック
(中略)
ペナルティーマークからのキックの進行中
(中略)
◦ 主審がキックを行うよう合図した後に犯した反則でキッカーが罰せられる場合、そのキックは失敗として記録され、キッカーは警告される。
(後略)



さて、キッカーがキックフェイントしたけれど、守備側競技者(FP)も侵入の違反をしていた、という場合やキッカーのキックフェイントもあったけれどGKもインプレーになる前に前方に大きく飛び出していた、という場合の再開方法について、2017/2018年度の改正で明記されるようになったのですが、皆さんきちんと答えることができますか?



競技規則 2017/2018 第14条 ペナルティーキック

2. 反則と罰則
(中略)
競技者がより重大な反則(例えば不正なフェイント)を犯した場合を除き、両チームの競技者が反則を犯した場合、キックが再び行われる。ただし、ゴールキーパーとキッカーが 同時に反則を犯した場合:
◦ ボールがゴールに入らなかった場合、キックをやり直し、両方の競技者は警告される。
◦ ボールがゴールに入った場合、得点は認められず、キッカーは警告され、守備側チームの間接フリーキックでプレーを再開する。
(後略)




ということで、キックフェイントの違反は侵入違反より重大な反則なので、キックフェイントの違反が優先されます。キッカーとGKが同時に違反した場合は、違反が同程度なので、キックされたボールがゴールに入らなければ、キッカーもGKも両者とも警告されて、「キックはやり直し(PK戦の場合も)」となりますが、ボールがゴールに入れば、キッカーだけが警告され守備側チームの間接FKで再開(PK戦の場合はキック失敗&警告)することになります。



2017/2018年度版の要約表を確認しておきます。

競技規則 2017/2018 第14条 ペナルティーキック

3.要約表
lowofthegame_2017-2018_14_3_001.jpg



キックフェイントが行われたからといって、キッカーがボールをける前に慌てて笛を吹いてしまわないようにしましょう。そのような場合(キックフェイントが行われたものの主審が笛を吹いてキックをさせなかったというケース)は、競技規則では想定しておらず、再開方法も一切記載されていません。とにかくキッカーに最後までけらせましょう!!!



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