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3級審判員の悩める日々
とあるサッカースポーツ少年団の指導者で、かつサッカー3級審判員である私のサッカー三昧な日々
岩清水選手が退場になった理由を考える
 
 

やってくれましたね~、なでしこJAPAN。延長後半10分の近賀選手のループシュートが枠を外れた時点で、私は「負け」を覚悟してしまいました。正直、高さのある米国選手を相手に、セットプレー(コーナーキック)から得点できるとは思わなかったので・・・。

 

「試合終了の笛が鳴るまで諦めちゃいけない。」 ということを、なでしこJAPANは教えてくれたような気がします。

 

日本が米国に勝った理由を「言う/探る」ことは、他の人に任せることにして、審判員のブログですから、審判ネタで記事を書こうと思います。

 

女子ワールドカップ決勝の延長後半のアディショナルタイムに入ってすぐ、縦パスに反応したモーガン選手を岩清水選手が倒して退場となったプレーについてです。

 

見ていなかった、録画していなかった、という方は、

http://www.dailymotion.com/video/xjyqto_japan-world-champion_sport

に映像(ファイルの先頭から4分20秒付近です)がありますので、ご覧ください。ちなみに解像度が低いのと、別角度からのリプレイ映像がないので、少しわかりにくいと思いますが・・・。

   

戦術的には、時間(延長後半のアディショナルタイム中)と得点状況(2-2)から考えて、あのシーンでは岩清水選手はカード覚悟でモーガン選手を止めてくれなければ、日本が試合に負けることになる可能性が高い状況でした。(試合の序盤や中盤などでは、決して「やってはいけない」プレーですけど。)

 

フジテレビの放送では、アナウンサーが危険なスライディングタックルとして主審がレッドカードを提示した、というような実況を行なっていましたが、私の考えは違います。

 

岩清水選手はモーガン選手よりも先にボールに触るべく、ボールにスライディングをしていきますが、モーガン選手のほうがほんの一瞬先にボールに触れて、ボールのコースを変えています。このボールのコースを変えられてしまったことで、岩清水選手はボールに触れることができず、モーガン選手にのみ接触して倒してしまいました。

 

もちろん、岩清水選手のファウルであることに間違いがありません。(まったく同時にボールにアプローチしたたために接触して倒れたような場合は、アクシデントとして判断され、ファウルにならない場合がありますが、今回はあくまで岩清水選手がアフターで入っている形になります。)

 

ただ、一発レッドとなる「著しく不正なファウル」かというと、ボールに間に合いそうにないから相手選手の足を引っ掛けて止めようとするような悪質なスライディングではないように見えるし、スライディングの方法が自身のコントロールができなくなる両足を揃えて行なったものでもないです。モーガン選手の後方からの不意打ちのスライディングだった訳でもないですね。

 

むしろモーガン選手は岩清水選手が来ていることを察知していて、その岩清水選手をかわすためにボールのコースを変えるようにコントロールしています。(そのコースの変える方向、タイミングなどのテクニックが絶妙で、完全にファウルを誘うプレーです。上手い、としか言いようがありませんねぇ・・・。)

 

ですので、ファウル自体の内容だけを見れば、岩清水選手はもう少し慎重にボールに触れることを考えるべきで、スライディングタックルを無謀に行なった、ということでイエローカードの対象となるような感じのファウルだったように思います。

 

では、なぜ主審がレッドカードを提示したかというと、やはり

得点、または得点の機会の阻止」にあたるという判断だと思います。

 

競技規則 第12条 ファウルと不正行為

退場となる反則

競技者、交代要員または交代して退いた競技者は、次の7項目の反則を犯した場合、退場を命じられる。

(中略)
●フリーキックまたはペナルティーキックとなる反則で、ゴールに向かっている相手競技者の決定的な得点の機会を阻止する
(後略)


 

競技規則 ガイドライン 第12条 ファウルと不正行為

得点、または得点の機会の阻止

(中略)

主審と副審は、得点または決定的な得点の機会の阻止で競技者に退場を命じるとき、次の状況を考慮に入れなければならない。
●反則とゴールとの距離
●ボールをキープできる、またはコントロールできる可能性
●プレーの方向
●守備側競技者の位置と数
●相手競技者の決定的な得点の機会を阻止する反則が直接フリーキックまたは間接フリーキックとなるものであること。
 

 

先にも書いた通り、岩清水選手がファウルして止めなければ、モーガン選手に得点を決められてしまう可能性が非常に高い状況でした。

 

レッドカードが主審によって示された瞬間、岩清水選手も「やっぱりレッドかぁ・・・」と苦笑いしてますね。

 

なお、大きなチャンスとなる攻撃の芽を摘むファウルの場合は、反スポーツ的行為として「イエローカード」の対象になります。

 

「大きなチャンスとなる攻撃の芽を摘んだ」場合は「イエローカード」ですが、「決定的な得点の機会を阻止した」場合は「レッドカード」です。

 

大きなチャンスとなる攻撃の芽を摘む行為と、決定的な得点の機会を阻止する行為の違いの線引きは、自分の中で引くしかありません。

 

競技規則で「決定的な得点の機会の阻止」かどうかを判断する際に、

●反則とゴールとの距離 ●ボールをキープできる、またはコントロールできる可能性 ●プレーの方向 ●守備側競技者の位置と数

を考えなさいとあります。 競技規則にはありませんが、プレーのスピードなども考慮すべき内容だと思われます。

 

なかなか自分が担当する試合の中で経験できるものではないし、経験した時には重大な判断を迫られるので、サンプルをたくさん見て「いざ」という時に備えておくしかありませんね。 

  

ついでなので、一発レッドとなる「著しく不正なファウルプレー」のほうも確認しておきます。

 

競技規則 第12条 ファウルと不正行為

退場となる反則

競技者、交代要員または交代して退いた競技者は、次の7項目の反則を犯した場合、退場を命じられる。

(中略)
●著しく不正なファウルプレー
(後略)


 

競技規則 ガイドライン 第12条 ファウルと不正行為

著しく不正なファウルプレー

ボールがインプレーで、競技者がボールに挑むとき、相手競技者に対して過剰な力や粗暴な行為を加えた場合、著しく不正なファウルプレーを犯したことになる。

相手競技者の安全を犯すタックルは、著しく不正なファウルプレーを犯したことで罰せられなければならない。

いかなる競技者もボールに挑むときに、過剰な力や相手競技者の安全に危険を及ぼす方法で、相手競技者に対し片足もしくは両足を使って前、横、あるいは後ろから突進した場合、著しく不正なファウルプレーを犯したことになる。

(後略)


  

主審がどちらの理由でレッドカードを提示したのか確認すべく、FIFAの Mach Report を見てみましたが、Jリーグとは異なり、岩清水選手にレッドカードが出されたことは記載されていますが、その理由までは記載されていませんでした。

http://www.fifa.com/mm/document/tournament/competition/01/47/65/78/32_0717_jpn-usa_fulltime.pdf

  

最後に、「得点の機会の阻止」については、先日も米国サッカー協会の Referee Week in Review の紹介で記事にしています。ご覧になっていない方は、ぜひ下記の関連記事のところにあるリンクをクリックして、ご自身の「得点の機会の阻止」の判断にお役立てください。
  

☆ 関連記事 ☆

「得点の機会の阻止 … 2011 Referee Week in Review - Week 1 (米国サッカー協会)より」


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