3級審判員の悩める日々
とあるサッカースポーツ少年団の指導者で、かつサッカー3級審判員である私のサッカー三昧な日々
今回の誤審の背景にあったのでは?と思われる別の誤審2つ。
 

 

まずは、下記の映像の1分15秒付近~をご覧ください。


YouTube: 2013.3.10 ヴィッセル神戸 vs FC岐阜 ポポキャノン!オフサイド??




3月10日に行われた、J2第2節(ヴィッセル神戸 4-0 FC岐阜)の試合です。(残念ながら、何分頃の出来事なのかは不明です。)

 

ヴィッセル神戸の7番(ポポ 選手)のシュートがそのままゴールに入っているように見えますが、A1担当の大川直也副審は、オフサイドの判定。

 

恐らく、オフサイドポジションにいた神戸の13番(小川 慶治朗 選手)が相手競技者(岐阜のGK)に干渉したという大川副審の判断だと思います。

 

副審の位置からでは、ポポ選手のシュートのコースと小川選手およびGKの位置関係を把握するのは非常に難しかっただろうなぁ、と思うのですが、この観客席からの映像を見る限り、オフサイドポジションにいた小川選手は、GKの視線を遮っていないし、動きも妨げていなければ、動きやしぐさで惑わせたり混乱させておらず、GKのプレーの可能性を妨げたとは「判断できない」と思います。 

  

よって、「ゴールは認められるべきだった」と思われます。

 

扇谷 健司主審が、オフサイドポジションにいた小川選手がプレーおよび相手競技者に干渉していなかった、という判断であれば、大川副審のところに行って協議し、オーバーコールする(副審の判定を取り消しして、違う判定を下す)ことができたのですが、小川副審の助言を採用してしまいました。(きちんと協議しているので、手続きとしては問題がないのですけれど・・・。残念。)

 

 

続いて、こちらの映像の45秒付近~をご覧ください。(ちょっと見にくいかもしれませんが・・・。)


YouTube: 2013.03.17 千葉和彦 オフサイド




J1第3節(サンフレッチェ広島 0-0 鹿島アントラーズ)の試合の72分頃の出来事のようです。

 

広島の5番(千葉 和彦選手)は、ボールと相手競技者の間には入り込んでおらず、またGKがボールをセービングするのを身体を接触させて妨げていた訳でもありませんので、「相手競技者には全く干渉していない」状態です。

 

ボールがゴールに入った瞬間、扇谷健司主審(ん、また扇谷主審ですか!)は、右手でセンターサークル方向を指して、いったんゴールの合図を出しているようです。

 

しかし、A2の数原武志副審は、オフサイドのフラグアップをせず、またゴールの合図であるハーフウェー方向へのRUNも実施せずに、その場に留まって主審が確認にくるのを待っている様子です。(断言はできませんが、下の映像を見る限り、そのような感じがします。残念なことに大事な部分が画面から見切れているんですよねぇ・・・)


YouTube: 2013.3.17広島vs. 鹿島オフサイド?



  

映像はなかったのですが、広島のサポーターさんのブログ「サンフレッチェ会」 の

サンフレッチェ広島vs鹿島アントラーズ 第3節レビュー

の記事にありました。ちょっと無断で引用(あとできちんとトラックバックを送信しておきます)させてもらうと、

「オフサイドポジションの件については、少なくとも数原武志副審はゴールの瞬間にオフサイドフラッグを上げなかった。
副審がオフサイドフラッグを上げたのは鹿島の抗議があって、主審が副審と話し合ってゴールを取り消してから初めて上げました。
千葉は確かにオフサイドポジションだったようですが、ボールへの関与については別に主審がジャッジするべきもの。
だから、まず前提条件としてオフサイドであったかという見解を副審が先に示さないままに、ゴール判定になって暫く経ってから主審との話し合いでオフサイドによるゴール取り消したというやり方が相当マズい。
これは鹿島の抗議があったからではなく、恐らく抗議がなくても話し合いで覆っていた可能性も高いのではないかと思いますが、見る方からすれば鹿島の抗議で判定が覆ったと見えてしまう。
サッカーで最も興奮する瞬間は当然ゴールシーン。
副審が最初からフラッグ上げてりゃ喜びゃせんかったわ。」

 

と、書かれています。

広島のサポーターさんたちをぬかよろこびさせてしまった結果になったのは、サッカーの審判として活動する者としては、非常に残念なのですが、実は数原副審の対応は、「模範解答」のような動作なのです。

 

ちなみに、正しい流れはこうなります。

    

「(副審から見て)ボールがゴールに入った時、オフサイドポジションにいた選手の、プレーまたは相手競技者への干渉が疑われた」

  ↓

副審はオフサイドの合図(※1)もゴールの合図(※2)も実施せず、その場で留まって、主審とアイコンタクトを取り、主審が自分(副審)の近くに来るのを待つ。(原則として、緊急時を除いて副審はピッチ内には入れません。) (2013.05.24 追記。 松崎・元審判委員長が、「ゲキサカ」のコラムにおいて、このような場合は、「今はオフサイドの可能性があれば、まずは旗を上げる。」と寄稿されているという情報をいただき、確認いたしました。上記打ち消し線の文章は、「少し前のやり方」であることをご了承ください。 関連記事 「お詫びと訂正」 参照。)

http://web.gekisaka.jp/13119_1432_in 



(※1)アシスタントレフェリーフラッグを右手でまっすぐ真上に上げ、主審が笛を吹くまで保持する。

(※2)主審とアイコンタクトをとりつつ、タッチライン上をハーフウェー方向に向かって20~30メートル「すばやく」走る。このとき、フラッグはフィールド側(右手)で持ち、下向きのままを維持します。

  ↓

主審はゴールの合図(センターサークル方向を指す)もオフサイドの合図(片手を上げて笛を吹く)もせず、ダッシュで副審のところに駆け寄る。

  ↓

主審は副審との会話内容を選手に聞かれないように人払いをした上で、近くに選手が来ていないことを確認するため主審も副審もフィールド側に顔を向けて、タッチライン上でコミュニケーションをとる。

  ↓

コミュニケーションで到達した結果をもとに、判断を示す(主審・副審ともに、オフサイドorゴールのシグナルを出す)。

 

というのが、正しい流れ。

 

つまり、数原副審の一連の動作は全て正しい動作でした。

 

扇谷主審が数原副審とアイコンタクトを取らずに、いったんゴールのコールをしてしまったということが、ちょっといただけなかったかな、と。

 

ただし、プレーを再開させる前であれば、主審の裁量で副審の助言を採用して、決定を変えることができる、と競技規則で定められているので、ゴールを取り消したのは誤りではありません。

 

でも、扇谷主審の最初の判断が正しく、ゴールは認められるべきだった(千葉選手がプレーにも相手競技者にも干渉していなかったので、オフサイドではなかった)のに、ゴールを取り消してしまったので、結果として「間違えた」ことになりましたが・・・。

  

最終的に、扇谷主審と数原副審が協議して確認した結果、オフサイドの判定に。オフサイドポジションにいた、広島の5番(千葉 和彦選手)がボールに触れた(≒プレーに干渉した)という判断でしょう。

 

折角協議しているのに、正しい判定にはなっていないのが、非常に残念です。

 

ゴールラインを越えた/越えないの問題ではないので、仮にゴールラインテクノロジーを採用することになったところで、このようなジャッジミスは解消されません。「VTR判定の採用を」という声も時々聞こえますが、微妙な判定の度に試合を止めてVTR再生で確認していたら、試合がブツ切れになって、サッカーのスピード感(90分間絶えずボールと選手が同じ位置で留まらずに動いている)という魅力はなくなってしまう、というのが私の意見。

 

(もし、VTRで判定を修正して良いなんて規則を導入したら、3種や4種の試合で審判に「この映像で確認しろ!」なんて言いだす観客が現れそうだし・・・。)

 

広島vs鹿島の試合のダイジェスト映像をあと2つほど紹介しておきます。前述の映像が削除されて見られなくなった場合に備えて。 


YouTube: Osako 2013 #3 サンフレッチェ広島 VS 鹿島アントラーズ



先の2つの映像でも確認できるのですが、この↑映像の5分19秒付近で、扇谷主審が「人払い」をしている様子が映っています。 


YouTube: 2013.03.17 J1第3節 サンフレッチェ広島 vs 鹿島アントラーズ



この映像の1分00秒付近の鹿島のオフサイドに関しては、大迫選手からパスが出る瞬間、11番(ダヴィ選手)がボールより前にいるようなので、オフサイドで間違いないと思います。ナレーションはオフサイドの判定を疑問視しているような言い方をしていますが・・・。) 

 

さて、ここからが本日の記事の本題です。

 

前述のように、2つの副審の視野の限界ともいえる見誤りが、2013年のリーグ開始早々に起きていました。

 

いずれも、本来ならば「認められるべき得点が、審判団によって認められなかった」ものです。ちょっと意地悪な言い方をすると「審判団が決定機を阻止した」とも言えるわけです。

 

私個人の想像でしかありませんが、この2つの判定ミスは審判委員会で問題になったのではないかなぁ、と思います。 

 

で、Jリーグ担当の審判員に 今一度「if dought no flag」という意識を徹底するように指示があったんじゃないのかなぁ、とも。(過去記事 「「if doubt no flag」 という言葉。」 参照。)

 

だから、浦和vs鹿島の試合で竹田副審がフラグアップしなかったし、上川審判委員長も「ペナルティーなし」にしたんじゃないのかなぁ・・・。

http://www.nikkansports.com/soccer/news/f-sc-tp0-20130514-1127141.html

ちょっと想像しすぎかな。 

 

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余談になりますが、先述の

「副審が最初からフラッグ上げてりゃ喜びゃせんかったわ。」

の部分について、ひとこと。

 

今後はぜひ、1)副審がタッチライン上をハーフウェー方向に走る、2)それを確認した主審がセンターサークル方向を指す、という2つの合図を両方確認してから、喜んでくださいませ。

 

その2つの合図が行われた場合、浦和vs鹿島の試合のように、まず判定が覆ることはないと思いますから・・・。(ただし、第4審判の助言を採用した場合に判定が覆る可能性はあります。)

  

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☆ 関連記事 ☆

「「if doubt no flag」 という言葉。」

「お詫びと訂正」 


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コメント
コメント
No title
両点(サンフレッチェの得点に至ってはシュートコースで当たらないように足をかわすなど)顕著にプレーへの関与があったと思われます。

あれをオフサイドでないと判断することが妥当と思います。

主は誤審ときめたのでしょうか。
2013/05/22(水) 20:01:58 | URL | すぎもと #79D/WHSg [ 編集 ]
No title
 
すぎもと さん、はじめまして&コメントありがとうございます。
すぎもとさんのご質問の意味がいまいちよく理解できないのですが、下の回答で納得いただけるのでしょうか?(もし、見当違いな回答だという場合は、すみませんが、もう少しご質問の文章を簡単にしていただけないでしょうか?)
 
---
 
2005年7月15日付けで、FIFAから日本協会に対し、オフサイドの「プレーに干渉する」の解釈について、
 
「相手競技者への干渉が考えれれない状況で、オフサイドポジションの競技者がプレーするためにボールを追っている場合、副審はその競技者がボールに触れる(プレーする)まで旗を上げることを待て。」
 
という指示が出ています。
 
同年8月17日付けで、上記の指示の補足として
 
「オンサイドポジションにいる他の味方競技者の誰もボールをプレーする機会がないと主審が判断したならば、オフサイドポジションにいる競技者がボールをプレーする、あるいはボールに触れる前に罰せられることもある」
 
という通達が出されました。
 
どういうことかというと、オフサイドについて現在のFIFAの基準はボールを追ったり、あるいは跨いだりしてもオフサイドと判断せず、あくまで「ボールに触れた時」にオフサイドで罰しなさい(触るまで待ちなさい)というものです。
 
ただ、他のオンサイドポジションにいた選手がボールをプレーするのが完全に不可能と判断できる状況になったのなら、ボールに触れるのを待たずにオフサイドで罰しても良いですよ、ということになっています。
 
この記事で紹介した2つのケースは、いづれもボールに触れていないようなので、オフサイドは成立していない、というのが私の見解です。
 
上記の「FIFAからの指示」については、過去記事
http://tom3.blog.ocn.ne.jp/blog/2010/12/post_77ef.html
に詳しく書いてありますので、そちらもご覧ください。
 
ご理解いただけましたでしょうか?
 
2013/05/22(水) 21:05:03 | URL | TOM3 #79D/WHSg [ 編集 ]
No title
こんにちは

本記事では正しい流れとして
「副審はオフサイドの合図(※1)もゴールの合図(※2)も実施せず」

と書かれていますが、ゲキサカで松崎氏が
「以前は、オフサイドでもなんでも副審として得点を認めない判断があったら、得点のシグナルをしないで、そこに留まっている。そんな風に合図をしていたこともありました。 しかし、今はオフサイドの可能性があれば、まずは旗を上げる。」

と書かれています。
オフサイド確定でなくても疑わしい場合は旗を上げるのが正しい副審の行動のようです。
http://web.gekisaka.jp/13119_1432_in

協議してオフサイドがなく得点が認められた場合、旗をあげていた事への非難が凄そうですが...一応そういうことになってるみたいですよ。
2013/05/24(金) 12:34:03 | URL | daru #79D/WHSg [ 編集 ]
No title
 
daru さん、情報ありがとうございます!!
 
勉強不足でした。2012年5月に書かれた文章ですね。当時この記事をチェックしなかったのかなぁ・・・。そして、いつから変わったんでしょう・・・。
 
少なくとも、私が3級スクールで指導を受けていた時は、「疑われる時はとりあえず上げろ」なんていう指導は受けなかったし、その後何度かペアを組ませていただいた2級審判員の方からも「疑われる時はとりあえずフラグアップして」というような要請を受けたこともないですねぇ・・・。
 
でも、当時審判委員長だった松崎さんが書かれているのですから、今は「疑われるときはとりあえずフラグアップ」が正解なんでしょうね。
 
>協議してオフサイドがなく得点が認められた場合、旗をあげていた事への非難が凄そうですが...一応そういうことになってるみたいですよ。
 
おっしゃる通り、副審がフラグアップしたのをオーバーコールしてゴールを認めると、守備側選手の主審に対する「信頼」は崩壊しそうですが・・・。
 
とにかく、すぐに過去記事に注記を入れることと、過去記事に注記を入れた、という記事をUPさせていただきます。
 
情報ありがとうございました!!
 
これからも、私の記事におかしいところがありましたら、ぜひお教えくださいますよう、よろしくお願いいたします。
 
2013/05/24(金) 21:26:13 | URL | TOM3 #79D/WHSg [ 編集 ]
No title
早速の返答ありがとうございます。
干渉でもあり、サンフレッチェの選手がその場所にいることで利益を得ると思います。
あのいちに攻撃側の選手がいたら、GKのセービングする可能性を妨げたことになると思います。
それはガイドラインにもきっちりと干渉する場合と書かれていますが。いかがでしょうか?
守備側の選手の視点からすると、ゴールは取り消されても当然の判定ではないでしょうか。
2013/05/24(金) 21:30:18 | URL | すぎもと #79D/WHSg [ 編集 ]
No title
 
少し競技規則の文章の解釈を勘違いされているのかなぁ、と感じます。
 
相手競技者への干渉については、今日更新した記事
http://tom3.blog.ocn.ne.jp/blog/2013/05/20130524.html
をご覧になってみてください。
 
私は、千葉選手の位置はGKの曽ヶ端選手にとってノーチャンスの位置だったと判断します。
http://youtu.be/F7HcMYQJYVU
の映像の2分36秒付近をご確認ください。
(曽ヶ端選手は千葉選手に身体的な接触で動きを封じられていませんし、視野に入ることでボールの軌道を見誤る位置にもいません。)
 
それから、「その位置にいることで利益を得た」ことでオフサイドが成立するのは、相手守備者、GK、ゴールポスト、クロスバーなどからボールが跳ね返ってオフサイドポジションの競技者にわたった場合だけです。(明日更新予定の記事でも紹介する予定ですが、ガイドラインのオフサイドの図の10~13をご確認ください。)
 
千葉選手は跳ね返ったボールをプレーしたわけではないので、「その位置にいることで利益を得た」には該当しないのです。
 
2013/05/24(金) 23:10:32 | URL | TOM3 #79D/WHSg [ 編集 ]
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