3級審判員の悩める日々
とあるサッカースポーツ少年団の指導者で、かつサッカー3級審判員である私のサッカー三昧な日々
副審が見極められる限界(副審の視野の限界)と対応策を考える
 

今日の記事のタイトルは、かなり悩みました。他の候補としては、

「どうしても生じる副審の死角をどう補うか」

「騒動を大きくした4つの小さなミス」

という案もあったのですが・・・。

  

ということで、全く違うタイトルをつけようかと悩むほど記事が長いので、ご注意を。

 

あ、その前に、    

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主審の場合、選手の身体が死角になってボールが見えなくなっても、死角にならない位置に移動することができます。上手なレフェリーだと、選手の身体で死角になりそうな気配を感じた段階で、微妙にポジションを修正して、死角になる瞬間自体を減らそうという努力をしています。

 

私の場合も、展開を予測してできるだけボールが選手の死角に入る瞬間を減らす努力しているものの、展開を読み違えて、「やばいっ!」と思って慌ててポジションを修正することもしばしば。

 

そうそう、ボールが選手の身体の死角に入り込んでしまった場合に、上半身を「く」の字に折り曲げ「覗き込む」ような動作をしている主審の方を見かけますが、3級レフェリースクールでは、そのようなしぐさをすると、指導を受けます。

 

「なぜ『1歩ないし半歩』移動して自分のいる位置を修正しないのか?」と。

 

「覗き込む」という動作は、素人目には「一生懸命見極めしようとしている」ポーズに見えるかもしれませんが、玄人の目から見ると、自ら自分のポジショニングの悪さを周囲に知らしめる動作なのです。 

 

皆さん、主審担当時に「覗き込む」ような仕草をしていませんか?もし、そのような仕草をしている方は、「1歩ないし半歩」動いてポジションを修正するように習慣付けましょう。(覗き込む癖がついていると、その癖を修正するのに時間がかかりますよ~。経験者談です。)

 

Jリーグのレフェリーで「覗き込んで」ボールを見ようとしている主審は、まずいませんから、注意して観察してみてください。

 

ところが、副審の場合は「タッチライン上でのオフサイドライン・キープ」という『縛り』があるため、選手の身体が死角になってボールが見えないことは、「しょっちゅう」起こります。

 

じゃぁ、どうしているのか、というと「その瞬間見えていた情報」と「その瞬間の前後の情報」などを総合的に判断して、見えなかった瞬間を想像(イメージ)することになります。(基本的に、オフサイドの判断の元となる、パスが出た瞬間をどう把握するか、ということに関してです。)

 

上手なFWの選手は、ぎりぎりまでオフサイド・ラインを越えないようにラインに対して平行な方向にランニングをしながら待機しておき、「ここぞ!」のタイミングで飛び出すため、手前(副審)側に大柄なFW選手に位置取りされてボールが見えなくなると、「どいて!」と心の中で叫びたくなります。

 

特に、レフェリーサイド側(副審が立っていないほう)のタッチライン沿いを攻撃側選手の1人が突破しようとしていて、それに連動する形で2人もしくは3人くらいの攻撃側選手がDFの裏を狙って待機した状態で複雑なライン取りをし、更に「『瞬間的に』オフサイドポジションをオンサイドポジションをうろうろする選手がいる!」というような状況になると、副審はいろんなところを見なければならないので、涙が出そうになります。

 

「勘弁してくれよ~」って。

 

当然、守備側選手の少なくとも1人はボールに寄って相手選手が支配しているボールを奪おうとするので、更にボールの出所が見えにくくなって、オフサイドの最終判断となるものの必要条件でしかない「パスが出た時」の見極めが、非常に困難な状態に陥ることがあります。(そこでDFがオフサイドトラップをしかけようものなら、状況としては超最悪です。)

 

その際、ボールの出所に関する目からの情報が減少しても、耳からの情報が助けになることはあります。

 

ボールを蹴る音はもちろん、ヘディングでボールが擦れるような「かすかな音」でも我々が担当するような3種や4種の試合では、注意していれば聞こえることもあるのですが、多くの観客が入っているスタジアムの場合、「擦れるような音」はまず聞こえません。

 

今回のプレーはゴール前ではあるものの、選手(特に攻撃側の選手)が作り出す死角は半端ないもので、かつヘディングのかすかな音はスタジアムの観客の生み出す音でかき消されていたと思われます。(興梠選手はオフサイドポジションから戻ろうとしていましたし・・・。DFはオフサイドトラップを狙っている感じでした。)

  

というわけで、映像を見ていただくまえに、ポイントを整理しておきます。

 

まず、

1)ラストパスの瞬間が副審側からしっかり確認できたのかどうか。

続いて

2)ラストパスが出た瞬間のDFの位置と興梠選手以外のFWの位置は副審の視野にどの程度影響していたのか。(映像は逆側からの映像なので、頭の中で副審側からの映像に置き換えてみてください。)

最後に、

3)副審側から見えるボールの軌道の変化から、興梠選手が「明確に触れた」ということが確認できたのかどうか。(聞こえるレベルの「音」が発生していたかどうかも確認を。)

 

この3点を意識して、下の映像の5分40秒付近~の映像をご覧ください。


YouTube: Osako 2013 #11 浦和レッズ VS 鹿島アントラーズ Jリーグ20th記念試合



 

音はこちらの映像でご確認を。


YouTube: 浦和レッズvs鹿島アントラーズ 興梠慎三ゴール 第11節

 

ペナルティーを受けなければならないような誤審と思われますか?

    

もちろん、オフサイドポジションにいた興梠選手がボールに触れた可能性があることを考慮し、主審に確認しなかったのは竹田明弘副審のミス。

 

ボールに触れた興梠選手がパスが出たタイミングでオフサイドポジションにいなかったのかどうかを副審に確認しなかったのは、佐藤隆治主審のミス。(プレーを監視していたポジションもちょっと悪いような気がします。)

 

お二人のどちらかが、少しでも疑問に感じていたなら、きっと(主審がゴールを)コールする前に確認作業が行われたはずで、今回運悪くお互いの視野で確認できなかった部分を補完することなく、お二人とも「得点が認められる」という意見で一致してしまったのが、結果として「誤審」となってしまいました。

 

2人の審判のミスが同時に起きてしまったのが、今回の誤審。これは、もちろんこの試合の審判団の反省材料でしょう。(恐らく審判委員会は、主審と副審のコミュニケーション不足が誤審を招いてしまったモデルケースとしてJリーグ担当の審判員の研修会などで誤審を防ぐ方法の伝達(再発防止策)を含めて説明すると思われます。)

 

ただ、もし、コミュニケーションシステム(インカム)があったら、少しは状況が変わっていたかも知れません。

 

「主審、今のプレー、興梠選手は(ボールに)触れてないですよね?」

「いや、そちらからは見えなかったかもしれないが、こちらか見る限りボールのコースが少し変化したから興梠選手が触れたと思う。」

というようなやり取りが行われていたかも・・・。

で、四審が横から

「触ったよ~ん、ここから確認できたよ~。」

ってな具合に。

  

 

さて、今回、主審と副審のミスだけが大きく取り沙汰されていますが、他にもミスはあったのです。(ただし、以下の話しは私の推測部分も少しあるので、ご了承ください。)

 

まず、会場内の大型スクリーンに、Jリーグの内規(不文律?)に違反してVTR再生を(3回?)流してしまった担当者のミス。(その担当者に内規(?)をしっかり伝えていなかった責任者?のミス)⇒この件、後日別記事にします。

 

こちら ↓ がスタジアム内のスクリーンに流れた映像。


YouTube: 2013.5.11 J.LEAGUE 20th Anniversary MATCH 浦和レッズ×鹿島アントラーズ 後半33分 浦和・興梠慎三選手の微妙!?なゴールシーン



  

(ちなみに、競技規則上、VTRによる判定が認められていないので、仮に場内にVTR映像が流れたところで、審判団(主審)はその映像を元に判定を修正することはできません。主審が判定を修正できるのは、自ら誤りに気がつくか、主審の裁量によって、副審または第四の審判員の助言を採用した時のみ。)

  

次に、試合の「公式の立会人」で、試合直後に片方のチームを擁護するような発言を慎むべき立場にもかかわらず、鹿島の関係者に詰め寄られて「不用意な発言」をしてしまった桂木聖彦マッチコミッショナーのミス。(ちなみに、マッチコミッショナーの最終的な任命責任はチェアマンにありますから、そのマッチコミッショナーを任命したチェアマンのミス?!)

 

マッチコミッショナーとは・・・ 
http://www.j-league.or.jp/document/jnews/57/machi.html

アドレスを見ていただけば解りますが、これ ↑ はJリーグのサイトです。

 

微妙な判定があったということはマッチコミッショナー報告書に書いてチェアマンに提出しなければならないが、その内容を試合直後に当該の試合の関係者にコメントして漏らしてはまずいでしょ?

 

試合の70分前に

 「●クラブ関係者にフェアプレイの重要性を強調し、審判員への批判や中傷を言わないように注意する(前述のJリーグの「マッチコミッショナーとは」より)」

ということを、自らの口で両クラブ関係者に説明したハズのお方が。それとも、今回は定められた手続きを実施しなかったのでしょうかねぇ・・・。

 

http://www.nikkansports.com/soccer/news/p-sc-tp0-20130517-1128266.html

↑ 審判委員会に通達を出したJFA理事会は、当然Jリーグのコミッショナー委員会にも通達を出しているんでしょうねぇ。

 

この2つのミスが、今回の騒動を大きくしてしまった原因かな、と。

 

  

あと、「Jリーグ20thアニバーサリーマッチ」という冠がついていて、NHK-BSの放映とスカパー!オンデマンドで無料配信されていて、通常の試合に比べて見ている人が多かった、ということもありますね。

http://www.j-league.or.jp/release/000/00005014.html 

 

個別に見れば1人1人はちっちゃなミス。(あくまで個別に見れば、の話ですよ。)ただその小さいミスが不運にも4つ重なってしまっただけの話、と私は考えます。

 

もう一度書きますが、皆さんはペナルティーを科されなければならないような誤審だと思われますか?

http://www.nikkansports.com/soccer/news/p-sc-tp1-20130515-1127277.html

こんな ↑ 記事しかかけない記者がいることが悲しい。

 

 

それにしても、ジャッジに文句を言う監督さんの多いこと。 

http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2013/05/12/kiji/K20130512005783390.html

 

「試合途中、『赤いユニフォームを着た選手が黒いユニフォームを着て試合に参加しているのか?』と思ったけれど、選手達は気持ちを切り替え、冷静に自分たちのスタイルを貫いて、残された短い時間内にきっちり逆転してくれたよ。」

くらいのことが言える監督さんはいないのかなぁ・・・。指導力と皮肉力に富んだ監督さんは。 

 

どこかにそんなCOOL!な監督さんいませんかねぇ・・・。あ、なでしこJAPANの佐々木監督が近いかな。いや、佐々木監督は皮肉は言わないか。

 

     

明日の更新では、もう少し副審がフラグアップしなかった背景を探ります。(「疑わしきは罰せず」という原則がある、ということと、予告記事で使った映像を引き合いに出して・・・。)

  

更に、明後日の更新では、「微妙な判定は場内の大型スクリーンなどでVTR再生を自粛するという内規(不文律)ができた背景」を紹介します。

  

お楽しみに! 

 

あ、そうそう、この記事は、私が勝手に思っていることを書いただけですので、当然異なる意見をお持ちの方もいらっしゃると思います。(特に鹿島のサポーターの方などは・・・。)

 

コメント欄に反論等を投稿いただいても、基本的には「貴重なご意見ありがとうございます。」くらいの返信になりますので、ご了承ください。なお、読んでいる方が不快に思われるような表現が含まれているような投稿の場合は、コメントの一部または全文の公開を見合させていただく場合がある、ということを予めお伝えしておきます。

 

 

なんだか記事の内容が、散らかってしまいましたが、少しまとめておきます。

 

「得点となった場合に、副審から見てオフサイドポジションに選手がいた場合、その選手がプレーまたは相手競技者に本当に干渉しなかったのかどうか」

 

という確認を、副審はどのようにして主審ととるか、ということを今回の教訓とすべきなんだろうと思います。 

 

私が主審を担当していた場合で、シュートがGKやゴールポストあるいはクロスバーから跳ね返り、シュートを打った選手以外の選手が詰めてボールをゴールに押し込んだような場合、最初のシュートの段階で、ボールをゴールに押し込んだ選手がオフサイドポジションにいなかったかどうかを副審に確認しに行くことはあります。

 

あるいは、初めてペアを組んだ4級審判員の副審の方のオフサイドラインキープが甘い(要するにずれていた)場合で、「オフサイドだったんじゃないの?」「怪しいなぁ」という場合は、「いまのこちらからはオフサイドっぽくも見えましたが、大丈夫(オフサイドではなかった)ですよね?」という形式上の確認を入れにいく場合もあります。(なかなか、オーバーコールはできません。)

 

ただ、副審を担当していた場合で、オフサイドポジションにいた選手がボールや相手競技者に干渉しなかったかどうかがしっかり確認できなかった場合は、やっぱり「ゴールの合図であるハーフウェー側へのRUNも行わず、またフラグアップも行わず、その場で留まる。」ということを実施し、主審に来てもらって、コミュニケーションをとることを習慣づけなくてはいけませんね。

  

選手に会話を聞かれないように人払いをしておいてから、主審とお互いに「見えた」現象を確認して、実際のプレーがどうだったのか、という検証作業をする。その上で、審判団としての判定を決める。 

 

そのようにして、出来る限りジャッジミスを減らす努力をしよう、と思う出来事でした。 

     

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