3級審判員の悩める日々
とあるサッカースポーツ少年団の指導者で、かつサッカー3級審判員である私のサッカー三昧な日々
『笛が鳴るまでプレーは続けなさい』ということを教えるのにちょうど良い教材(第92回高校サッカー3回戦 三重県代表 四日市中央工業高校 vs 神奈川県代表 桐光学園高校 の試合から)
タイトルが長くてごめんなさい。(いつものことですが。) 

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年末年始はブログへのアクセスが少ないのですが、昨日は「オフサイド」とか「プレーに干渉」というキーワードでこのブログに飛んでこられた方が・・・。

 

高校サッカーで「何かあったのかな?」と思い、ちょっと調べてみました。

 

問題のシーンは、下記映像ファイルの先頭から11分01秒~です。


YouTube: 第92回全国高校サッカー選手権大会3回戦・四日市中央工業対桐光学園。

 

問題となるのは、オフサイドポジションにいた四日市中央のFWの選手がオフサイドの成立要件である「プレーに干渉」したのかどうか、です。

 

これ、「プレーに干渉する」、という競技規則の言葉の定義を正しく理解していないと、間違えてしまいます。

 

結論から先に書くと、今回のプレーに関して競技規則的には、

「(オフサイドポジションにいた選手は)プレーに干渉していないので『オフサイドではない』」

と判断されます。

 

詳しくは、過去記事 「「プレーに干渉する」のFIFAの解釈」 に詳しく書いてあるので、そちらを読んでいただきたいのですが、基本的に、

 プレーに干渉する ≒ ボールに接触する

です。

 

今回のようにオフサイドポジションにいた選手がボールの方向に動いた(移動した、近寄った)だけではオフサイドにはなりません。

 

・ オフサイドポジションの競技者が単にボールを追うことは、プレーではない。また守備側の競技者が単に相手を追走することは、自然の行動であり、オフサイドポジションの競技者が影響を与えているわけではない。 (2005年7月15日に日本サッカー協会審判委員会から出された通達より)

 

詳しくは、過去記事 「2005年7月15日の通達「オフサイドの適用について(連絡)」の全文」 をご覧ください。

  

ということで、この得点は認められます。 

   

ただ、副審がオフサイドポジションの選手がボールに触れる前にフラグアップしてしまって、その選手がボールに触れなかったのでオフサイドにはならず自ら(?)フラグを下げる、という「やってはいけない」ミスを犯しているのですが、オフサイドの判断に限らず、試合の判定の決定権は主審にあるので、主審が笛を吹くまで選手はプレーを止めてしまわないように、指導者が導かなければなりません。

 

指導者は、副審のフラグアップを主審が採用しない可能性がある、ということなどを日ごろから指導していなかったのなら、そのことを反省しながら、選手には気持ちを切り替えさせて自分たちの持てる力を試合の残り時間でじゅうぶんに発揮できるように導くべきでしょう。

 

副審のフライング気味のフラグアップはあったものの、ルール適用には誤りがないのに執拗に審判団に抗議(←公式記録より)するというゴールキーパーコーチの姿勢は、アマチュアの試合、特に育成年代の試合では、指導者のあるべき姿ではないと、私は思います。(D級指導者資格しか取得していませんが。)

 

 

さて、審判目線で副審のフラグアップをもう一度検証してみましょう。 副審の真後ろで観戦&撮影されていた方が、youtube に映像をUPされていました。(とっても貴重な映像です。投稿者さん消さないでね~。)

 

その映像がこちら。 


YouTube: 第92回全国高校サッカー選手権3回戦 桐光×四日市中央 オフサイドの新ルール適用なのか!?


う~ん、やっぱりフラグアップがフライングですねぇ・・・。もうワンテンポ待って確実にボールに触れたことを見極めてからフラグアップすべきでした。

 

4級審判員の方の多くは、「これなら自分もフラグアップしてしまうかも」と思われると思いますが。3級以上の資格保持者なら、フラグアップしちゃいけないケースです。

 

(映像を見ると、主審からフラグキャンセルのシグナルがあったのか、副審自身が誤りに気がついて自らフラグを下げたものなのか判断しかねます。原則論としては、副審がフラグを下げられるのは、主審がフラグを採用して笛を吹くか、主審からフラグをキャンセルする合図が行われた場合だけのはずなのですが。 

あくまで私見ですが、もっとはっきり主審がフラグキャンセルのシグナルを出していれば、判定の責任が主審にあることが明確になって、そのあとの混乱が収集させやすかった(退席者を出さずに済んだ)のかも知れませんね。)


 

オフサイドに関しては、2005年の通達 (過去記事 「「オフサイドの適用に関する新たな指示(2005年改正)」という通達」 参照)で、2つの例外的なケース※以外は、原則として「触る(触れる)まで待て」というFIFAからの指示が出ていることを、普段JFLで主審を担当されている1級審判員の桜井大介副審なら、当然ご存知だったと思われるのですが・・・。

 

第92回全国高等学校サッカー選手権大会 3回戦 【36】 (公式記録)

 

(※2つの例外的なケースについては、下記参照。

「ボールに触るまで待たずにオフサイドのフラグアップをしてもよい2つの例外(その1、なが~い縦パス系のボール)」 

「続・ボールに触るまで待たずにオフサイドのフラグアップをしてもよい2つの例外(その2、GKとの接触が懸念される時)」   )

 

審判に係わる者として、この得点がこの試合の決勝点になってしまったのは、ちょっぴり残念ではあります。 

 

 

と、偉そうなことを書いていますが、もちろん私だってフラグアップが早すぎてインストラクターから指導を受けたことがあります。(フラグアップが早すぎると、守備側選手が足を止めてしまって、大変なことになりかねないから、確実にボールに触れてからフラグアップしなさい、と。)

 

「見逃しちゃいけない」と思うと、慌ててしまってフラグアップをフライングしてしまうので、「(GKとの接触が懸念される場合以外は)フラグアップは遅れても全然問題ないんだ」と自分に言い聞かせながら、副審を担当するのが良いかもしれませんね。

 

四日市中央工業と履正社の試合(準々決勝)でも審判団泣かせのプレーがありました。検証記事はこちら



☆ 関連記事 ☆

「「プレーに干渉する」のFIFAの解釈」 

「「相手競技者に干渉する」のFIFAの解釈」

「2005年7月15日の通達「オフサイドの適用について(連絡)」の全文」

「「オフサイドの適用に関する新たな指示(2005年改正)」という通達」  

「ボールに触るまで待たずにオフサイドのフラグアップをしてもよい2つの例外(その1、なが~い縦パス系のボール)」 

「続・ボールに触るまで待たずにオフサイドのフラグアップをしてもよい2つの例外(その2、GKとの接触が懸念される時)」 

「キーパーチャージという反則は現在存在しない(第92回高校サッカー準々決勝 履正社(大阪) vs 四日市中央工業(三重)の試合から)」   



  

 
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コメント
コメント
No title
いつも拝見していますが、初コメントです。

私は4種でしか笛を吹きません。
ルール的には ボールに触るまでオフサイドで無いと
頭では分かっていても 多分取っちゃいそうです。

思うに周囲の審判(私を含め)の大半が
普段ここに書かれているようなジャッジが出来て無いですね。
(サッカーと同じで 審判も地域によりレベル差が有るようです)
ところで、うちの地区は8人制・基本1審制ですが
そうでないところも多いのでしょうか?
2014/01/04(土) 19:28:28 | URL | ゆうちぃの父 #79D/WHSg [ 編集 ]
No title
 
ゆうちぃの父 さん、はじめまして&コメントありがとうございます。また、いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
 
>頭では分かっていても 多分取っちゃいそうです。

「今、あの選手にパスがでたらオフサイド」ということを考えている最中にその選手のほうにパスが出ると思わず、「待ってました!」ってフラグを上げてしまいそうになりますよね。
 
>普段ここに書かれているようなジャッジが出来て無いですね。
 
そうなんですよねぇ。なので、1人でも多くの4級審判員の方がこのブログを定期的に読んでくださって、少しでもご自身のレフェリング技術の向上に役立てていただければ、と思ってブログの更新を続けています。 
 
>ところで、うちの地区は8人制・基本1審制ですが

都道府県大会の本選は、日本サッカー協会からの強い「要請」で1人審判制で実施しているようですが、市区町村での予選については4級審判員の方が試合を担当することが多いので、市区町村の審判委員会の判断で3人制審判を採用しているところもあるようです。
 
当初は、日本協会や都道府県協会の要請通り、1人制で実施したものの、現場であまりにも揉めることが多くて、止むを得ず3人制にしている、という感じだと思いますが。
 
2014/01/04(土) 22:53:06 | URL | TOM3 #79D/WHSg [ 編集 ]
No title
いつも楽しく拝見しております。
このケースは何度も動画を見て私個人の意見ですが、素直に笛を吹いた方が良いのではないかと思います。
"ボールに触れたら"というのは条文で言えば「プレーに干渉する」ですよね?ではこの選手はプレーに干渉しているか?それはしてません。
ただ、「相手競技者に干渉」していませんか?あそこまでボールに近づくことで相手競技者はオフサイドだと思い、止まる。つまり、惑わされたと捉えることができると思います。
故に私ならば笛を吹くと思います。
ただ、私がARをする時にはもう一人オンサイドから来ていないかということは常に頭に入れてやっています。それでもあそこまで近づくと旗を上げてしまうと思います。
このケースは吹くか吹かないか、上げるか上げないかは一概に何が正しいとは言えないのではないのですかね…

難しいですね…
2014/01/06(月) 13:57:33 | URL | 佐藤 #79D/WHSg [ 編集 ]
No title
 
佐藤さん こんにちは。いつもありがとうございます。

佐藤さんは2級ということで、少し突っ込んだお話を。(私の「推測」がたくさん入っていますのでご了承を。)
 
FIFAは、ここ20年くらいかけて、ゴールキーパーのところでボールが滞留しないようにルールを改正してきました。5ステップ→6秒とか、バックパスの手での捕球禁止とか。
 
これによりゲームにスピード感は出てくるようにはなったのですが、オフサイドトラップという戦術が一般的になり、90分戦っても両チームに得点なしという試合も増えてきました。
 
サッカーの試合をもっと面白くして、ファンを増やすためには、得点シーンをもっと増やす必要があると。
 
そこで、できるだけオフサイドに該当するケースを減らし、得点になりそうなシーンを増やそう、というのがFIFAの考えの根本にあるような気がします。
 
だから、以前はオフサイドポジションに攻撃側選手がいて、その選手の状態にかかわらず(例、足がつって動けない状態でも)、その選手のほうに味方選手からボールが出ただけで即オフサイドだったものが、現在ではボールに触れない限りオフサイドではなくなりました。
 
相手競技者への干渉についても、2012年度まで存在していた「しぐさや動きで相手競技者を惑わす、または混乱させると主審が判断」というような『あいまい』な表現が削除され、今年度からは
 
「●〝相手競技者に干渉する〟とは、明らかに相手競技者の視線を遮る、またはボールへ向う相手競技者にチャレンジすることによって、相手競技者がボールをプレーするまたはプレーする可能性を妨げることを意味する。」

という、『より具体的』で範囲を絞るような表現に修正されました。
 
この修正からも、できるだけオフサイドに該当するプレーを減らそうというFIFAの意思を私は感じます。
 
この新しい定義に、佐藤さんがおっしゃる「惑わせる」というものは、含まれていません。 
 
確かに、明らかにオフサイドポジションにいた攻撃側競技者がボールにかなり接近したことで、守備側競技者は影響を受けています。
 
「多分、オフサイドポジションの選手がボールに触れてオフサイドになるだろう。」って。
 
でも、これって、惑わせたのではなく、勝手に予測してしまうというミスを犯しただけですよね。(副審も同じミスをしているのですが。)
 
ボールがピッチの外に出ると思っていたら、コーナーフラッグポストに跳ね返ってピッチ内に戻ってきた、っていうのと同じようなものじゃないですかね。
 
なんか、話が逸れましたが、もし私なら
「(副審に旗を)下げて~!」
って大きな声で選手・ベンチにも聞こえるように叫んだと思います。
 
だって、今回のプレーをオフサイドとしてしまうと、「自分で自分にパスを出した、つまりドリブルしている最中に、オフサイドポジションにいた味方選手が近寄ってきたのでオフサイドの反則にしました」という訳の判らないジャッジになりますもの。
 
(ドリブルではなくて、本当に2列目の選手だったとしても、FIFAの意向を汲み取って、「下げて~」って叫ぶと思います。)
 
2014/01/06(月) 21:12:32 | URL | TOM3 #79D/WHSg [ 編集 ]
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