3級審判員の悩める日々
とあるサッカースポーツ少年団の指導者で、かつサッカー3級審判員である私のサッカー三昧な日々
ザンビア戦(2014/06/07)の公式記録ほか

 

 

記事タイトルには、公式記録ほか、と書いていますが、今現在、まだJFA.jpのサイトには公式記録(PDFファイル)がUPされていません。

 

ということで、公式記録がUPされたら、ここにリンクを貼っておきます。 

ザンビア戦の公式記録PDFはこちら

  

この試合で私が注目したのは、負傷者に対する審判の対応のところです。

 
 

前半17分43秒付近の日本代表(岡崎 慎司選手)とザンビアGK(トースター・ヌサバタ選手)との交錯したシーンのあと。

 

通常、選手の怪我の処置は、ピッチの外で行われますが、怪我をしたのがGKの場合、GKとフィールドプレーヤー(以下、FPと表記)が衝突し、即座な対応が必要な場合や、同じチームの競技者が衝突した場合については適用されません。(過去記事 「フィールド内で治療を受けられるのは「原則GK」だけ」 参照。)

 

相手GKが負傷して、ピッチ内で処置を受けていて、どうせ試合が停止する状況だったため、岡崎選手もそのままピッチ内で処置を受けることができました。(通常なら、チームドクターによる状況確認と、簡単な止血処置だけが行われ、本格的な処置はピッチの外で行われます。)

 

出血した選手は主審による止血の確認がなければピッチ内に復帰できないので、通常、岡崎選手は、プレー再開後のアウトオブプレーのタイミング(最近は、できるだけ素早く選手をピッチに復帰させることを目的に、主審から権限を委譲された第四の審判員による止血の確認を受ければ、インプレー中でも復帰することができるようなのですが。)でしか復帰できないのですが、相手GKの処置が長引いていたことなどもあり、再開時にそのままピッチ内にいましたねぇ・・・。

 

競技規則的には、第5条のガイドラインで、主審が遵守すべき手続きとして、「負傷した競技者は、試合が再開されたのちにのみフィールドに復帰できる。」と規定されているので、岡崎選手は一旦ピッチの外に出て、試合再開後にしかピッチに戻れないはずなんですけどねぇ・・・

 

負傷した選手がピッチの外で処置を受けなければならないのは、「円滑な運営」のためであり、今回のようにゴールキーパーの処置のほうが時間がかかっていて、他の競技者の処置のほうが先に終了した場合は、あえてピッチの外に出る必要はないそうです。(上級審判員の方に教えていただきました。コメント欄もご参照ください。2014.06.08 追記。) 

 

もちろん、負傷者がGKの場合は、試合再開時にピッチ内にGKがいない状況となってしまい、競技規則の第3条の競技者の数(各チームの競技者のうちの1人はゴールキーパーである。)を満たさなくなってしまうので、必然的に「ピッチ外からの復帰は免除」されるのですが。 

 

ちなみに、後半36分のザンビア代表11番(クリストファー・カトンゴ選手)、後半38分のザンビア代表2番(ジミー・ムリロ選手)が、それぞれ単独で負傷したケースは、競技規則通りの対応になってました。

 

そのザンビア代表11番(クリストファー・カトンゴ選手)のピッチへの復帰時のお話。(時間的には後半38分頃)

 

試合再開後、インプレー中に、ベンチ前からパトリス・ビュメール監督と一緒に、主審に対して大声でピッチへの復帰をインプレー中に求めていましたが、主審の位置がベンチ前から少し離れた場所だったため、主審には聞こえなかったようで、インプレー中の復帰はできず、アウトオブプレーのタイミングでしか復帰できなかったようです。(あくまで推測なのですが。)

 

A2側(バックスタンド側)ではなく、せっかく近くに第4の審判員がいる場所だったので、第4の審判員に頼めば良かったのに・・・。

 

きっと依頼された第4の審判員はインカムで主審に言ったハズ

「主審~、ザンビアの11番が復帰したがっているから、(視線はプレーから外さなくていいから)合図だけちょうだ~い。」

って。

 

で、主審が(アイコンタクトなしでも)手だけの合図をよこしてくれたら、

「はい、主審の許可出たからピッチに戻っていいよ。」

って第4の審判員に言ってもらうことができて、アウトオブプレーになる前にピッチに戻れていたかもしれないんですけどね~。

 

ま、通常我々が担当する試合では、まだまだインカム(ヘッドセット)を使うことはないと思いますが、まもなく始まるワールドカップの観戦時に、そういったことにも気をつけながら試合を見ると、より一層試合を楽しめますよ~。

  

 

話を前半の23分頃に戻します。

ザンビアGK(トースター・ヌサバタ選手)が血のついたGKグローブを交換するため、ベンチに戻ります。

 

どうも、主審に言われて交換したのではなく、自ら申告してグローブを交換した感じですが。 

 

一応、過去記事 「競技者は、血液のついた衣服を身につけることは許されない」 に書いてある通り、競技規則の第5条のガイドライン側に「競技者は、血液のついた衣服を身に付けることは許されない。」と明記されています。

 

血液のついたユニフォームはもちろん、ショーツやストッキングもNGですので、ご注意を。 

 

ちなみに、映像では映し出されていませんが、用具交換なので、交換後に主審から権限を委譲された第4の審判員によって、用具チェックを受けているハズです。

 

 

これより、負傷者の対応以外のところのお話。

  

後半12分08秒付近の日本代表4番(本田 圭佑選手)の反則になったチャージ。

確かに、腕やひじを用いてはいないのだけれど、少し身体の当て方が強く、「不用意な方法で」チャージした、と判断されてしまった様子。

 

競技規則 ガイドライン 第12条 ファウルと不正行為

相手競技者をチャージする

チャージングとは、スペースを確保するべく、ボールがプレーできる範囲内で、腕やひじを用いず、身体的接触を用いて挑むことである。

次の方法で相手競技者をチャージすることは、反則である。
●不用意な方法で
●無謀な方法で
●過剰な力で 


 

う~ん、難しい。ま、あの位置でプレーを監視していた主審が、そう判断したのですから、その判断を尊重すべきなのかもしれません。

 

後半18分頃から、少し試合が荒れる要素が出てくるのですが、主審がしっかりゲームコントロールします。

 

まず、後半18分57秒付近、ザンビア代表7番(ジェイコブ・ムレンガ選手)が、ボールとの間に身体を入れられてしまった日本代表7番(遠藤 保仁選手)の背中の上のほうを、手で思いっきり押します。

 

主審はファウルの笛だけでなく、少し間をとり落ち着いてプレーさせるためにジェイコブ・ムレンガ選手とコミュニケーションをとります。

 

後半20分12秒付近、日本代表16番(山口 蛍選手)が後方から足を回して、ボールにアプローチしたことで太ももを蹴られたことに腹をたてたザンビア代表11番(クリストファー・カトンゴ選手)が、プレーをしながら山口選手に対して腕を激しく振りまわしたシーン。

 

恐らく主審はアドバンテージを適用してそのまま流すつもりだったのかもしれません。しかし、クリストファー・カトンゴ選手の報復気味な腕の使い方を見て、プレーを切ってザンビア代表のフリーキックで再開することを選択します。

 

で、フリーキックでの再開を待たせておいて、クリストファー・カトンゴ選手と山口 蛍選手の両選手を呼び、落ち着いてプレーするようにコミュニケーションをとります。

 

これで、この両者は少しクールダウンできたと思います。素晴らしいゲームマネジメントだと思います。そのままコミュニケーションを取らないままにゲームを進めた場合、もう少しプレーが荒れだしていた可能性があります。

 

このようなケースで、3、4級審判員の方がやってしまいがちなミスを紹介しておきます。

 

ポジショニングが悪かったり、ファウルに対する認識が甘く、最初の山口選手のファウルをファウル認定せず(見逃して)、クリストファー・カトンゴ選手の報復気味の手の使い方をファウル認定して日本代表側にフリーキックを与えてしまうと、クリストファー・カトンゴ選手の主審に対する信頼感はゼロとなり、プレーは思いっきり荒れだします。

 

荒れたプレーは、更に荒れたプレーを呼び、収集をつけるのが難しくなります。 

 

主審のミスが引き金になって、試合が荒れはじめる、ということのないように、しっかりと最初のファウルを見極めましょう。

 

後半26分16秒付近、日本代表13番(大久保 嘉人選手)に出されたカードは、ラフプレー。

 

完全に遅れて、ボールではなく相手競技者の足に対してスライディングタックルをしてしまったということで、「無謀に」タックルした、という判断。

 

後半28分51秒付近、ザンビア代表が触れたボールが、ハーフウェーラインから日本陣地側に5m程度のところのタッチラインを割ります。長友選手がボールボーイから受け取ったボールをスローインした場所は、ザッケローニ監督の前でハーフウェーラインから10mほどザンビア陣地側に進んだ場所。

 

長友選手がスローインする前に、主審は笛を吹いて再開場所を修正しようとしてくれていたため、ファウルスローにはなりませんでした。で、主審はハーフウェーラインより日本陣地側だという場所を示しているのですが、長友選手がやり直しのスローインを行った場所が、ハーフウェーラインから3m程度ザンビア陣地側。本来スローインすべき場所からまだ少し離れていました。

 

早くプレーを再開させたいところですが、正しい場所から再開する癖をつけておかないと、本番のW杯ではばっさりファウルスローとられる可能性がありますよ~。

 

後半32分52秒付近の日本代表18番(大迫 勇也選手)がペナルティーエリア内で倒れたシーン。

 

ぱっと見ると、ザンビア代表の選手に足を掛けられて倒れたように見えるのですが、実際にはボールとの間に身体を入れられた大迫選手が、身体を入れられたことでザンビア代表の選手の足に引っ掛かって倒れた、という判断だと思います。

 

後半、33分29秒付近、ザンビア代表11番(クリストファー・カトンゴ選手)に出されたイエローカードもラフプレー。日本代表7番(遠藤 保仁選手)の後方からアプローチして、同選手のふくらはぎにスパイクの裏を当てたため。

 

後半36分08秒付近、日本代表22番(吉田 麻也選手)に出されたイエローカードもラフプレー。ザンビア代表11番(クリストファー・カトンゴ選手)の後方からアプローチし、最後は足を強く当てて引っ掛けた感じです。

 

後半40分24秒付近、日本代表21番(酒井 宏樹選手)に出されたイエローカードもラフプレー。ザンビア代表17番(ルバンボ・ムソンダ選手)の後方から激しく(無謀に)ファウルグタックルしたという判断ですね。

 

ちょっと長くなってしまいました。

   

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No title
いつも楽しく拝見しております。競技者の負傷に関してのところで「これは?」と思うものがありましたのでコメントさせていただきます。
負傷した競技者のことですが、日本協会からの通達の文書に
原則負傷した競技者はフィールドの中では処置が受けられないということの例外というものとして、
同じチームの複数の競技者が同時に負傷し即座に処置が必要な場合であったり、ゴールキーパーとフィールドプレーヤーが衝突し即座な処置が必要な場合はフィールド内で処置を受けることができ、またフィールドの外に出る必要は無いというニュアンスのことを書いていたと思います。今回はそれに当たるのではないかと思い処置は正しかったと思います。
2014/06/08(日) 23:33:14 | URL | 佐藤 #79D/WHSg [ 編集 ]
No title
 
佐藤 さん、いつもコメントありがとうございます。
 
ガイドライン側に「例外」として書かれている
・ゴールキーパーとフィールドプレーヤーが衝突し、即座な対応が必要な時
という文章の「即座な対応が必要」を、「結果としてフィールドに復帰するのが絶望的で、負傷退場することが明らかな場合」というような感じで読んでいました。
 
実は本日、上級審判員の方にお会いすることができたので、聞いてみたところ
「フィールドプレーヤーをピッチ外に出すのは、あくまで円滑な運営をするためで、今回のようにゴールキーパーのほうの処置にかかる時間のほうが長かった場合は、そのままピッチ内に居て構わない。もし、ゴールキーパーの処置のほうが早く終了していれば、岡崎選手はピッチの外に出されていた筈です。」
と教えていただきました。
 
ピッチ外に出して処置をする目的は、あくまで「円滑な運営」のためであり、ゴールキーパーの処置という、試合を再開したくても再開することができない状況の中では、他の競技者の処置のほうが先に終わっていれば、その競技者は改めてピッチの外に出る必要はない、ということですね。
 
後ほど記事本文も修正しておきます。コメントありがとうございました。
 
 
 
 
2014/06/09(月) 01:15:15 | URL | TOM3 #79D/WHSg [ 編集 ]
No title
私も教えていただいたのはそのようなニュアンスでしたのでその考え方で良いかと思います。今回のシーンで明らかに岡崎選手の方が時間がかかるようであればフィールドから退出させて治療をさせるということで正しかったと思います。
また、この例外の背景には競技規則の精神の中の平等性というところが大きく絡んでいるらしいです。
2014/06/09(月) 02:24:34 | URL | 佐藤 #79D/WHSg [ 編集 ]
No title
 
2010年の改正で「同じチームの競技者が衝突して、即座な対応が必要なとき」が追加された背景も、「平等性」(競技時間の確保よりも数的不利益の大きさ)を考慮して、と書かれていますね。

勉強になりました。

私たちが担当する試合でも、同じチームの競技者が接触して瞬間的にうごけなくなることが偶にあるので、そのような場合は、次のアウトオブプレーのタイミングで少し「間」をとってあげるような対応をしたほうが良いのかもしれませんね。(一応、声掛けと、本当に動けているかどうかの確認はしていますが。)
 
2014/06/09(月) 06:56:27 | URL | TOM3 #79D/WHSg [ 編集 ]
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