3級審判員の悩める日々
とあるサッカースポーツ少年団の指導者で、かつサッカー3級審判員である私のサッカー三昧な日々
ホールディング(相手競技者を押さえる)の反則に「過剰な力で」という概念は存在しない ・・・ 2015年 J1 第12節 G大阪 vs 川崎 の試合から)


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ガンバ大阪×川崎フロンターレ「J1リーグ 1st 第12節」 (マッチレポート)
http://www.jleague.jp/match/j1/2015/051607/recap#live


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「なんでレッドカードじゃないんだ!」

と思われた方が多いかも。ということで、急遽記事化しておきます。(実は、過剰な力のサンプル(その3)の記事をUPする予約設定をしておいたのですが・・・。)



まず、直接フリーキックで再開となるファウルのうち、
・キッキング(ける)
・トリッピング(つまづかせる)
・ジャンピングアット(とびかかる)
・ファウルチャージ
・ストラインキング(打つ)
・プッシング(押す)
・ファウルタックル
の7つのファウルについては、行為の「強さ」が判定基準に含まれていて、これらの行為を行う際に「過剰な力」を用いてしまうと、主審によりレッドカードが提示されて「退場」が命じられることが競技規則で定められています。(逆に「弱い」場合は、反則にはなりません。)



しかし、
・ホールディング(押さえる)
・スピッティング(つばを吐く)
・ハンドリング
の3つのファウルについては、「やっただけで反則。弱さ・強さは関係ない。」と規定されているのです。(明確に書かれている訳ではないのですが、上の7項目と区別して記載されている意味を汲み取ると、そうなります。)



競技規則を載せておきますので、ご自身の目でご確認を。


競技規則 第12条 ファウルと不正行為 

ファウルと不正行為は、次のように罰せられる。

直接フリーキック 

競技者が次の7項目の反則を不用意に、無謀にまたは過剰な力で犯したと主審が判断した場合、直接フリーキックが相手チームに与えられる。
●相手競技者をける、またはけろうとする。
●相手競技者をつまずかせる、またはつまずかせようとする。
●相手競技者に飛びかかる。
●相手競技者をチャージする。
●相手競技者を打つ、または打とうとする。
●相手競技者を押す。
●相手競技者にタックルする。 

次の3項目の反則を犯した場合も、直接フリーキックが相手チームに与えられる。
●相手競技者を押さえる。
●相手競技者につばを吐く。
●ボールを意図的に手または腕で扱う(ゴールキーパーが自分のペナルティーエリア内にあるボールを扱う場合を除く)。 

直接フリーキックは、反則の起きた場所から行う(第13条-フリーキックの位置を参照。)




下側の3項目については、強さは関係ないのだけれど、どのような局面でこれらの反則を犯したかによって、イエローカードやレッドカードが提示されます。(つばを吐くに関して言えば、相手競技者やその他の者(審判、相手チームの関係者、味方競技者など)に対して行えば、即レッドカードです。)



ということで、主審は競技者の「(青手競技者を)押さえた強さ」が強かったから、という理由では「レッドカード」を提示することができないということを踏まえた上で、他にレッドカードが提示されるような理由は存在してなかったのか、ということを確認しておきます。



ホールディング(相手競技者を押さえる)の反則で主審が競技者にレッドカードを提示できるのは、相手競技者の決定的な得点の機会を阻止した場合のみ。



決定的な得点の機会の阻止については、先月UPした 「決定機の阻止のサンプル(第1弾)」 の記事にも書いてある通り、


競技規則の「得点、または決定的な得点の機会の阻止」の部分の5項目




競技規則 ガイドライン 第12条 ファウルと不正行為

得点、または決定的な得点の機会の阻止

(中略)

主審と副審は、得点または決定的な得点の機会の阻止で競技者に退場を命じるとき、次の状況を考慮に入れなければならない。
●反則とゴールとの距離
●ボールをキープできる、またはコントロールできる可能性
●プレーの方向
●守備側競技者の位置と数
●相手競技者の決定的な得点の機会を阻止する反則が直接フリーキックまたは間接フリーキックとなるものであること





が満たされている必要があるのですが、ゴールキーパー以外にG大阪の4番(藤春選手)も間違いなく大久保選手の対応をできていたハズなので、
●守備側競技者の位置と数
の項目を満たしていないと判断されたため、レッドカードは提示されませんでした。(得点になっていた可能性はあったが、GKと藤春選手の2人が得点を防ぐことができた可能性もじゅうぶん高かったため。)



(しかしながら、反スポーツ的行為の
●戦術的な目的で、相手競技者を押さえて、ボールから遠ざける、またボールに向かうのを妨げる。
に該当しているので、イエローカードが提示されています。)



そういう訳で、今村義朗主審が岩下選手に対してレッドカードではなく、イエローカードを提示したのは、きちんと競技規則に則って判断したから、ということがお分かりいただけましたでしょうか?



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私見ですが、もし、ファウルが起きた時、藤春選手が今野選手と同じレベルあるいはそれよりハーフウェーライン側に位置していた場合、恐らくレッドカードが提示されていたんじゃないかなぁ、と思います。



ちなみに、今期の決定手的な得点の機会の阻止に関しては、ちょうどサンプルとして集めている最中で、下のリンクの通り記事化しています。決定機阻止で主審が考慮しなければならなない5項目を念頭に置いて、これらのリンク先の映像と、今回の映像とを見比べてみてください。(特に、第1・3・4弾の映像におけるファウルが起きた瞬間のDF陣の状況と、今回のDF陣の状況について比較してみてください。)


「決定機の阻止のサンプル(第1弾)」

「決定機の阻止のサンプル(第2弾)」

「決定機の阻止のサンプル(第3弾)」

「決定機の阻止のサンプル(第4弾)」



上のGIF動画の元となっている、スカパー!Jリーグ[公式]アカウントがUPしている映像はこちら。





☆ 関連記事 ☆

「直接フリーキックになる10の反則を英語で言うと」

「決定機の阻止のサンプル(第1弾)」

「決定機の阻止のサンプル(第2弾)」

「決定機の阻止のサンプル(第3弾)」

「決定機の阻止のサンプル(第4弾)」



↑ イエローカードのふせんでメモを残されたら、嫌だろうなぁ


 
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コメント
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著しく不正
いつも興味深く見させていただいております。

今回のファウル、「著しく不正な」と捉えれば、レッドでも良かったかなと思います。

確かにホールディングならイエロー止まりですが、感覚的に「あり得ない掴み方」だと感じました。

ホント、勉強になります…
2015/05/21(木) 12:47:02 | URL | 若林三級 #- [ 編集 ]
Re: 著しく不正

若林三級 さん、コメントありがとうございます。

> 今回のファウル、「著しく不正な」と捉えれば、レッドでも良かったかなと思います。

競技規則上、「著しく不正」は、7つのファウルを「過剰な力」で行うか、「粗暴な行為」つまり「殴る・蹴る」などの行為を加えた場合と定義されているので、「相手競技者を押さえて」という言葉と「著しく不正」を結びつけるのはNGですね。

審判報告書に書けませんね。

「過剰な力で殴った」とか「相手競技者を押さえて相手選手の決定的な得点の機会を阻止した」と嘘を書くことなってしまいますよ~。

審判報告書は、競技規則に則った文章でなければ戻ってくる(要するに再提出が求められる)ようですので、お気をつけくださいませ。

(私は競技規則に則した表現で書くように努めているので、今のところ、まだ指し戻されたことはありません。)



2015/05/21(木) 23:20:44 | URL | tom3 #JU5/Lso2 [ 編集 ]
得点の機会の阻止を判断する時は、決して5項目全てを満たしていなければならないというわけじゃないと思うんですけど…
2015/05/22(金) 00:37:45 | URL | 0001 #Cqpth0/k [ 編集 ]
Re: タイトルなし

0001 さん、コメントありがとうございます。

> 得点の機会の阻止を判断する時は、決して5項目全てを満たしていなければならないというわけじゃないと思うんですけど…

時々参加させてもらっている合同トレーニングにおいて、1級審判員の方から「5項目のうちの1つでも満たさない項目がある場合、決定機を阻止したという理由でレッドカードを提示してはならない。」というアドバイスを受けています。

ですので、S級審判インストラクターあるいは1級審判インストラクターの方にお会いすることがあって、このことを聞く機会があれば、聞いてみたいと思いますが。

2015/05/22(金) 23:28:20 | URL | tom3 #8M5qpgQ6 [ 編集 ]
自分はS級インストラクターの方にそう教わりましたが…

http://blog.livedoor.jp/ninjin0201/archives/30888669.html

では、このブログ記事の例にあるような状況では「ゴールから遠いから」という理由で得点機会阻止に該当しないのでしょうか?
2015/05/27(水) 00:26:16 | URL | 0001 #h2YGRmSs [ 編集 ]
Re: タイトルなし

> http://blog.livedoor.jp/ninjin0201/archives/30888669.html
> では、このブログ記事の例にあるような状況では「ゴールから遠いから」という理由で得点機会阻止に該当しないのでしょうか?

http://tom3kyu.blog.fc2.com/blog-entry-1997.html
のケースでは、ほぼ同じ位置で起きた反則に対してレッドカードが提示されています。私自身は今回の位置は決してゴールから遠いとは感じていません。


すみません、0001 さんのコメントの趣旨(2つのコメントで何をおっしゃりたいのか)が私にはよく分りません。もう少し詳しく書いていただけると助かるのですが。



2015/05/27(水) 23:26:19 | URL | tom3 #8M5qpgQ6 [ 編集 ]
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