3級審判員の悩める日々
とあるサッカースポーツ少年団の指導者で、かつサッカー3級審判員である私のサッカー三昧な日々
FIFA女子ワールドカップ カナダ2015 日本女子代表 vs イングランド女子代表 の試合(2015.07.02)の公式記録ほか


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この試合のハイライトはこちら。




OFFICIALS
Referee:Anna-Marie KEIGHLEY(NZL)
Assistant Referee 1:Sarah WALKER (NZL)
Assistant Referee 2:Allyson FLYNN (AUS)
Fourth official:Stephanie FRAPPART (FRA)

ニュージーランド&オーストラリアの審判団。



まずは、Anna-Marie KEIGHLEY主審が提示したイエローカードを確認します。



前半30分16秒付近。
ペナルティーエリア内で日本代表19番(有吉選手)を倒した、としてイングランド代表3番(Claire RAFFERTY選手)にイエローカード。
反スポーツ的行為の
●相手の大きなチャンスとなる攻撃のじゃまをする、または阻止するという戦術的な目的でファウルを犯す。
に該当したという理由。



有吉選手のトラップが大きく弾んでしまって、プレーの方向がゴール方向だったとは言い切れないところ、およびトラップが大きく弾んでいたために、イングランドのDF陣がゴール前に戻ってくる時間的な余裕もあり、守備側競技者の位置と数の条件もクリアしていないため、レッドカード(決定的な得点の機会の阻止)は否定。



後半45分35秒付近。
日本代表17番(大儀見選手)に出されたイエローカードは、Anna-Marie KEIGHLEY主審の手の動きから判断するに、「繰り返し競技規則に違反」した、という理由だと思います。プレーの内容としては、イングランド代表16番(Katie CHAPMAN選手)の真横からのチャージングなのですが、バランスを崩しながらのやや強めのチャージングが「不用意な方法で」チャージしたと判断されたのだと思います。



競技規則 ガイドライン 第12条 ファウルと不正行為

相手競技者をチャージする
チャージングとは、スペースを確保するく、ボールがプレーできる範囲内で、腕やひじを用いず、身体的接触を用いて挑むことである。
次の方法で相手競技者をチャージすることは、反則である。
●不用意な方法で
●無謀な方法で
●過剰な力で




直接のファウルは不用意レベルであるが、それまでにPKとなったファウルなどいくつかファウルを繰り返していたので、「繰り返し」としてのイエローカード。




で、2つのPKシーンについて。



まず、有吉選手が倒されたシーン。



競技規則 ガイドライン 第12条 ファウルと不正行為

相手競技者を押さえる

相手競技者を押さえることは、手、腕、または体を用いて相手競技者の進行や動きを妨げることを含む。

(中略)
守備側競技者がペナルティーエリアの外で相手競技者を押さえ、そのままペナルティーエリア内でも押さえていた場合、主審はペナルティーキックを与えなければならない。
(後略)



という規定があります。



しかしながら、ホールディング以外の反則は、最初にファウルが行われた場所がペナルティーエリアの外で、その後ファウルを受けた選手がペナルティーエリア内に転がっても、PKとはならず、直接フリーキックによる再開となります。



これを踏まえた上で、下の写真をご覧ください。


写真1
nadeshiko_20150702_001.jpg


(拡大写真)
nadeshiko_20150702_002.jpg



写真2
nadeshiko_20150702_003.jpg


(拡大写真)
nadeshiko_20150702_004.jpg



写真3
nadeshiko_20150702_005.jpg


(拡大写真)
nadeshiko_20150702_006.jpg



さて、これをどう判断するか。



写真1のところから写真3までのところをホールディング、つまり「押さえた」とするのであれば、そのままペナルティーエリア内でも押さえていたということで、PKの宣告は問題なし。



しかし、これはホールディングではなく、どちらかというとプッシング(相手競技者を押す)のファウルのような気がします。では、その場合、どこで「押した」ことになるのか。



写真1のところで、イングランド代表3番(Claire RAFFERTY選手)の右手は、有吉選手の背中に添えられていて、いままさに押し始める瞬間、といったところ。



写真2のところでは、有吉選手は押されたことで既にバランスを失っており、倒れかけています。しかし、Claire RAFFERTY選手の手を含む体はまだペナルティーエリアの外側に存在しています。



写真3のところでは、有吉選手はほとんど倒れる直前で、Claire RAFFERTY選手の体もペナルティーエリア内に侵入していますが、右手はまだ有吉選手の背中に添えられています。



厳密にいえば、プッシングのファウルの場合、押し始めた位置がファウルの場所とされるべきだと思います。従って今回の場合、ファウルが起きた場所は写真1から写真2までの間だと判定されるべきで、PKではなく直接フリーキックで罰せられるべきファウルだったような気がします。



しかしながら、Claire RAFFERTY選手の手が写真3のところまで有吉選手の背中に添えられていたことで、審判団にはClaire RAFFERTY選手がペナルティーエリア内(境界線はそのエリアの一部)で有吉選手を押したように錯覚してしまったものと思われます。(あるいは、ペナルティーエリア内まで押さえ続けたように錯覚してしまったのかも。)



なお、試合前の打ち合わせで、ファウルがペナルティーエリア内で起きたものなのか、ペナルティーエリア外で起きたのかが微妙な時は、副審からシークレットなサイン(助言)をもらうことにしておくのが一般的です。



現在FIFAが主催する試合の場合は、ほとんどインカムが使えるので、今回副審からシークレットサインが出ていたのか、インカムでコミュニケーションをとったのかは不明ですが。(ファウル直後のAssistant Referee 1:Sarah WALKER副審を映している映像があれば、主審が単独でPKを宣告したのか、副審の助言に基づいてPKを宣告したのかが判る可能性があるのですが・・・。)



直接FKなのにPKを宣告したのは「誤審か?」と言われれば、「誤審」ということになってしまうのかもしれませんが、Claire RAFFERTY選手ももう少しペナルティーエリアの境界付近でプレーしていることを意識して、早めに手を放しておくべきだったと思います。



ビデオや写真判定が認められていない以上、これを「誤審!」というのはちょっと厳しいかな、という気がします。ま、日本にとってはラッキーでした。



次に、大儀見選手が与えたPKについて。

どうも、大儀見選手の右足が、イングランド代表5番(Steph HOUGHTON選手)の左足のスパイクのかかと付近を踏んでしまったために、Steph HOUGHTON選手がバランスを崩し倒れてしまったのをファウル認定されてしまった感じです。倒れるほどがっつり踏んでいた訳ではないと思うのですが、かかとを踏まれて思うようにプレーできなかったのは事実だと思います。ま、アピールが上手かったということですね。

nadeshiko_20150702_007.jpg

くつの角度をご確認ください。大儀見選手のつま先が何かを踏んでいるようにあがっているように見えます。(試合を録画していた方は、ぜひ大儀見選手の右足とSteph HOUGHTON選手の左足に注目して録画を確認してみてください。)



日本にとってはアンラッキーでした。Anna-Marie KEIGHLEY主審が帳尻を合わせたというものではなく、どちらのPKもAnna-Marie KEIGHLEY主審にはそう見えたから、そういうジャッジを下しただけだと思います。



ということで、イエローカードの理由とPKのところに関してのみUPしておきます。



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コメント
コメント
いつも拝見させて頂いております。
今回、大儀見選手が与えたPKですが、やはり足を踏んでますよね。踏んだ結果、バランスを崩して倒れたとの判定は私も妥当と考えます。メディアでは上半身の事象のみで「少し厳しい判定ですね~」などと放送していて、違うんだよなぁと感じているところです。
話は逸れてしまいますが、最近(昔から?)のテ〇朝の実況解説者が「今のはファウルだろ!」とか「おかしいだろ!」とか、平気でリスペクトを無視する発言がとても気になります。
自分も少年団のコーチをしているので、この解説者の発言を当たり前だと感じてしまい、試合でも異議を唱える子供たちが増えないか不安です。
気持ちはわかるんですが、放送を見ている子供達にも配慮してほしいなと思っています。どうお考えでしょうか??
2015/07/03(金) 11:31:35 | URL | nin0s3 #- [ 編集 ]
Re: タイトルなし

nin0s3 さん、お久しぶりです。コメントありがとうございます。

> 話は逸れてしまいますが、最近(昔から?)のテ〇朝の実況解説者が「今のはファウルだろ!」とか「おかしいだろ!」とか、平気でリスペクトを無視する発言がとても気になります。
> 自分も少年団のコーチをしているので、この解説者の発言を当たり前だと感じてしまい、試合でも異議を唱える子供たちが増えないか不安です。
> 気持ちはわかるんですが、放送を見ている子供達にも配慮してほしいなと思っています。どうお考えでしょうか??

TV局というところは、見ている子供達のことなどはあまり考えていないと思います。メインで考えているのはスポンサーのことですね。スポンサーに喜んでもらうためにはどうするか。そう、少しでも視聴率を上げてくれそうな解説者を起用するだけです。残念ですが仕方ありません。

我々、指導者およびアマチュアレフェリーが現場で子供たちを正しく導くしかありませんね。

私は「嫌い」というわけではないのですが、解説者だとは思っていません。応援団長が解説者席に座って自由気ままに応援している、という気持ちで聞いています。戦術面では解説者として合格点かもしれませんが、ルール面では解説者というレベルではない(あんまり勉強されていない)と感じています。

2015/07/03(金) 23:29:28 | URL | tom3 #JU5/Lso2 [ 編集 ]
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