3級審判員の悩める日々
とあるサッカースポーツ少年団の指導者で、かつサッカー3級審判員である私のサッカー三昧な日々
「前半のアディショナルタイムが場内表示より短かったのは、連携ミスでしたごめんなさい。」で済む話が ・・・ 2051 J1 2nd 第2節 甲府 vs 仙台 の試合から



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家本主審が記事のネタを提供してくださったようなので。(笑)



まずは、下のハイライト映像の先頭から43秒あたりの、前半終了のシーンをご覧ください。




Jリーグの公式記録はこちら。
ヴァンフォーレ甲府×ベガルタ仙台「J1リーグ 2nd 第2節」



で、スポーツ報知のこちらの記事

前代未聞のロスタイムやり直し珍事 選手呼び戻しドロップボールで再開

をご覧ください。


記事中に、

「家本主審はこの掲示を見ないまま、仙台のスローインになった前半45分25秒で笛を吹いた。 (中略) 試合はドロップボールで再開された。」

という記載があります。



スローインになったところで笛を吹いたのなら、スローインから再開すべきでドロップボールでの再開は再開方法の誤りになるのですが、ハイライト映像を見る限り、ボールがアウトオブプレーになる前に家本さんが笛を吹いているようなので、ドロップボールでの再開に関しては、問題ないと思います。



ということで、スポーツ報知の「仙台のスローインになった前半45分25秒で笛を吹いた」という表現の前半は「記事(記者)の誤り」。



報道記事は正しく書いて読者に伝えていただきたい。(「ロスタイム」という表現、現在は正式ではないんですけど知ってますか~?)>スポーツ報知さん



ハイライト映像ではわからないのですが、日刊スポーツの記事、

真夏の夜の珍事! 前半終了笛鳴ったのに5分後再開

によると、前半45分25秒に吹かれた笛の直後、一部の選手はピッチを離れたものの、数名の選手(少なくとも両チームのキャプテン)はピッチ内に留まっていたようなので、ドロップボールで再開したのも競技規則上、問題なし。(ただ、再開までに5分ほど要しているのは問題だとは思います。)



スポーツ報知の記事だと、「選手全員がいったんピッチから離れたが、審判団だけがピッチ内に留まって協議し、ロッカールームに戻っていた全選手を呼び戻して、前半のアディショナルタイムの不足分をやり直した。」というような印象を受けますが、かなりの数の選手がピッチから出ないで留まっていたようなので、問題はなさそうです。



それから、スポーツ報知の記事では更に、「スタジアムが騒然となるなか、約20秒後に2度目の前半終了の笛を吹いた。(中略)ロスタイムをやり直しても、表示の1分には足りなかった。」とありますが、この部分については、確認できていません。




アディショナルタイムの表示に関する部分について、競技規則および通達を確認します。


競技規則 第7条 試合時間

空費された時間の追加

(中略)

空費された時間をどれだけ追加するかは主審の裁量である。




競技規則の本文側で、アディショナルタイムの長さを決めるのはあくまで主審だと定義されています。



続いて、ガイドライン側を確認します。


競技規則 ガイドライン 第7条 試合時間 

空費された時間の追加

(中略)

第4の審判員は、前、後半の最後に、主審によって決定された最小限の追加時間を表示する。

表示された追加時間は、その試合における正確な残り時間を示すものではない。妥当だと判断されるのであれば、主審はそれを増やすことはできるが減らすことはできない。

前半に時間計測を間違えたとしても、主審は後半の時間を延ばす、または短くして埋め合わせてはならない。




第4の審判員は、あくまで主審によって決定されたアディショナルタイムを場内に表示しなければなりません。



そして、2011年の7月にアディショナルタイムに関して、通達が出ています。

2011年7月5日
(財)日本サッカー協会審判委員会


アディショナルタイムの表示は連盟、リーグ等が、それぞれの大会、リーグ規定において規定し、下記の方法により実施することができる。

【アディショナルタイム】
主審が、試合中に次のことで時間が空費された場合は、前、後半それぞれ競技時間を追加する。
● 競技者の交代
● 競技者の負傷の程度の判断
● 負傷した競技者の治療のためのフィールドからの搬出
● 時間の浪費
● その他の理由
空費された時間をどれだけ追加するかは主審が判断し、次の方法で前、後半の終了時に表示する。延長戦のある場合もこれに準ずる。

【実施方法】
● 主審はランニングタイム用の時計を必ず持って、アディショナルタイムの計時を確実に行う。
● 前、後半終了予定1分前(ランニングタイム)頃、第4の審判員はハーフウェーラインとタッチラインとの交点近くまで交代ボードを持って出る。
● 主審は第4の審判員にアディショナルタイムを何分とるかを指で合図する。この際、間違いのおきないよう、なるべく近くで合図して確認し合うのがよい。
● 表示する時間は分単位とし、秒は切り捨てる。例えばアディショナルタイムが2分0秒~2分59秒の場合は「2」を表示する。
● アディショナルタイムが0分台、すなわち1分未満のときは、主審から第4の審判員に対して、そのことを連絡するが、第4の審判員は0分の表示は行わないで席に戻る。
● 第4の審判員は交代ボードに主審から示された数字を表示して、ランニングタイムの45分頃に上にあげて観客等に示す。
● ボードを上げる用意をしている間に、さらにアディショナルタイムをとる事態が発生した時は、あらためてそのあとにアディショナルタイムを第4の審判員に合図して表示する。
● アディショナルタイム中にさらに空費された時間を加えるような状況になっても改めてその時間を表示することはない。



この通達、アディショナルタイムが表示よりも長くなることは想定しているのですが、4審がアディショナルタイムを誤って主審の通知より長く表示してしまうというとこは想定してません。



第4の審判員がしっかり主審がアディショナルタイムを何分とるかを確認して場内に表示すべきだったのに、そうしなかったことが混乱を招きました。



ま、今回のケースを受けて、審判員会からは何かしらお話が出るでしょう。我々のレベルまでそのお話がおりてくるかどうかはわかりませんが。(多分、4審はしっかり主審とコミュニケーションをとって確実な時間を表示しなさい、って話で終わるような気がしますが。)



さて、今回の件に関して、疑問に思われそうなとろをまとめておきます。


「アディショナルタイムが間違えて表示されていて、実際のアディショナルタイムが表示より短かった。」
→ これは、第4の審判員の佐藤貴之氏のミス。



「再開がドロップボールで行われた。」
→ 最初の笛のときに、ボールインプレー状態だったので、問題なし。(スポーツ報知の記事のミス)



「最初の笛がなったとき、ボールを支配していたのは仙台だったのに、ドロップボール後甲府のゴールキックになった。」
→ ドロップボールに誰が参加する、何人参加する、どこに蹴る などに関して、主審は関与できません。(選手に対して提案はできるが強制はできない。) あくまで仙台のキャプテン(富田選手)が自らの意思でドロップボールから攻撃せず、甲府のゴールキックになるように、ドロップされたボールをけっただけ。


競技規則 ガイドライン 第8条 プレーの開始および再開

ドロップボール

(ゴールキーパーを含む)すべての競技者がドロップボールに参加することができる。ドロップボールに参加が必要な最小、最大競技者数は定められていない。主審は、誰がドロップボールに参加してよいのかどうかの決定を行うことはできない。




「前半のアディショナルタイムの不足分を、後半のアディショナルタイムに追加すれば済む話だったのでは?」
→ 競技規則の第7条のガイドライン側で、「前半に時間計測を間違えたとしても、主審は後半の時間を延ばす、または短くして埋め合わせてはならない。」と定義されているので、それはできません。




以下、私の勝手な推測。家本主審になったつもりでお読みください。(笑)


「前半45分25秒。アディショナルタイム0分の予告通り、前半終了。ん、『時間が短い』?なんで、きちんと45分経ってるよ~。アディショナルタイムは0分って通知したでしょ。

えっ、場内に1分って表示したの?こら4審!俺、0分って言ったじゃ~ん。もぉ~。

でも、アディショナルタイムがどれだけ追加するかは、主審である私の裁量なので、私が0分って言ったら、0分ですよ~、両キャプテンさん。なので前半終了です。

えっ、場内に1分って表示したのだから、きちんと1分のアディショナルタイムを追加しろって? 両チーム(のキャプテン)が不足分の時間を消化することを望まれるのですか?

主審の私としては、場内表示されたアディショナルタイムの表示が誤りだった、ということでこのまま前半終了することを強く希望しますが、本当に両チームが再開を望まれるのですか?

まだ選手がピッチ内に留まっているなら、先程の笛は私が競技規則のどこにも規定されていない理由で吹いてしまった、ということでドロップボールで再開することは可能といえば可能ですけどね。

ただ、前半の正規の時間が満了してから25秒経過したところで笛を吹いているので、再開したところで35秒後には笛を吹きますが、本当によろしいのですね?

では、ピッチから離れてロッカールームに戻ってしまった選手を呼び戻してください。

副審・第4の審判員さん、ピッチ上にいる両チームの選手の人数が11人であること、および選手が入れ替わっていないことを確認する作業を手伝ってください。万一選手が入れ替わっていたら、大問題になってしまうので。」



家本主審が状況を把握するのに要した時間、両チームのキャプテンを説得(結果は失敗)するのに要した時間、全22名の選手がピッチに戻ったかどうかを確認するのに要した時間、などの合計に5分が費やされたのでしょう。



家本さんが「4審の表示が間違い。私の決定が全て。」で押し切ってしまっていれば、こんなに大きな騒ぎにならなかったのでしょうけれど、両チームのキャプテン(実質はベンチ)の意向に沿うように対応してしまったがために、「前代未聞」なんて報道されてしまったという感じです。(家本さんの「やさしさ」が裏目に出た感じ。)



最後に、試合時間を間違えて笛を吹いてしまった場合について、まとめておきます。

「試合時間を間違えて笛を吹いてしまった場合、笛を吹いたときにボールがあった場所からドロップボールで再開することはできるが、いったん選手がピッチを離れてしまっていた場合には、再開することはできない。」(もちろんアウトオブプレーになって笛を吹いた場合は、そのアウトオブプレーの続きから再開。)

と私はインストラクターから、教わりました。過去記事 「試合時間を間違えて笛を吹いてしまったら・・・」 参照。

ご参考まで。



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「試合時間を間違えて笛を吹いてしまったら・・・」



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