昨日の記事では、ボールをゴールキーパーに渡す(返す)つもりで蹴られたボールが、誤ってゴールに入ってしまった場合の対応について考えました。
昨日の記事に関係する youtube 映像を探している最中に、他にも Fair Play に関係する事象で、主審のとるべき行動の参考になる映像を見つけたので、紹介しておきます。
2つとも同じ映像です。最初のファイルは解像度が高いのですが、リプレイ映像からのスタートです。2つめの映像は解像度が低いのですが、ファウル判定時の主審の位置などがよく解ります。
YouTube: Fair Play -Costin Lazăr refuză un penalty ; rapid-otelul 21.03.2009
YouTube: Rapid - Otelul no penalty
映像だけではすこし解りにくいので、解説(もちろん推測です)を入れておきます。
守備側チームのペナルティーエリア内で、守備側チームの選手が攻撃側選手にファウルチャージしたと主審が判断し、攻撃側チームのペナルティーキックを宣告します。
しかし、ファウルされた攻撃側選手は主審に、「(今のプレーは)ファウルじゃないよ。正当なチャージングだったよ。」と申告した様子。(Fair Play !)
主審はその申告を受けて、自分の笛が誤りであったと認め、笛を吹いた時点でボールのあった位置からドロップボールで再開をしています。自分のミスを素直に認めているので、ある意味主審も Fair Play ! です。
プレーを確認してみます。
守備側選手は、スライディングして攻撃側選手とボールの間に身体を入れています。相手の安全を顧みないスライディングやチャージングは「不用意な」または「無謀な」プレーとなり、ファウル(反則)となりますが、今回のプレーはあくまで相手選手とボールの間に身体を入れてボールをコントロールしようとする意図が見えるような気がします。(自分の身体をぶつけることで、相手の動きを止めよう/封じようとするような意図は見えません。)
守備側選手がボールに触れる前に、相手の攻撃側選手に接触して倒しているじゃないか! と指摘する方もいらっしゃるかもしれませんが、スライディングは攻撃側選手の視野内の位置から開始されており、危険なプレー(ラフプレー)として罰せられる後方(視野外)からのスライディングというわけでもありません。
ペナルティーエリア内で相手攻撃側選手とボールの間に身体を入れたことにより、相手選手が倒れただけでPKを宣告されてしまうと、守備側選手は守備ができなくなってしまうので、このプレーを守備側選手のファウルとするのは、ちょっと酷じゃないかなぁ、と思います。
主審はきちんとペナルティーエリアの角までプレーを追ってきており、プレーを監視していた位置は次の争点(ゴール前)を考えると決して悪い位置にいたわけではないと思うのですが、攻撃側選手がペナルティーエリア内で倒されたのを見て、思わず笛を吹いてしまったのでしょうかねぇ・・・。
本当にすごいフェアプレーだと、つくづく思います。
実は、約2カ月前に主審を担当した中学生の試合において、私自身も似たようなシーンを経験しています。
位置的にはセンターサークル付近の守備側チーム側の場所で、私の位置からは、守備側チームの選手がボールをコントロールした直後に、攻撃側選手に足を掛けられたために転んだように見えたため、守備側チームのフリーキックを宣告。
すると、その足を掛けられた選手が、私のほうに歩み寄り、「すみません、今のは自分で転んだだけです。」と申告してきた。
「へっ?」と思って、その瞬間頭の中でプレーを振り返ったのだけれど、自分では自分のジャッジが誤りだったかも?という意識はなく、あくまで足を掛けられたために転んだのに、この選手は何を言っているのだろう?と思い、「(足を)掛けられてたでしょ?」とだけその選手に言ってそのまま守備側チームのフリーキックで再開してしまった。(ファウルを取られた選手が異議を唱えたり、不服そうな顔もしていなかったし・・・。)
今考えると、そういう申告があった以上、両者および副審(近い方)に確認を入れてもよかったかなぁ、と。(選手が Fair Play の精神で申告しているのに、主審の私がその Fair Play の精神を握りつぶしてしまったのかも。)
その時は、自分のジャッジが誤っていたなら、ドロップボールで再開しよう、という意識が正直全くなかったなぁ・・・。
ファウルした側がファウルしてないよ、という異議については聞き入れる必要はないけれど、ファウルされた(と思われる)側の選手がファウルされていないよ、と申告してきた場合、今後はもう少し慎重に対応しようっと。
一応、タイトル「PKを宣告したのにファウルされていないと選手が言ったら・・・」の回答としては、
「ファウルの笛が誤りであると判断するならば、笛を吹いた時点でボールがあった位置からドロップボールで再開する。ただし、ゴールエリア内が再開場所となる場合は、最も近いゴールラインに平行なゴールエリアのライン上に移動してドロップボールで再開する。」
という感じになると思います。
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